シャンデリアの煌びやかな光が幾重にも重なり、磨かれた大理石の床に光を落としていた。
都内の一流ホテルで開催された、誰もが知る某大手企業グループの創業100周年を祝うレセプション。
会場内に漂う芳醇なシャンパンの香りと、穏やかに響く弦楽四重奏の生演奏が集まった財界人たちの格式の高さを雄弁に物語っている。
「(...やばい、足痛くなってきたかも...まだ時間あるのに...)」
私はトレーの上に乗せたフルートグラスのバランスを崩さないよう、そっと重心をずらした。
急遽インフルエンザで倒れた友人に泣きつかれ引き受けたコンパニオンのアルバイト。
ここまで大きなパーティーでの給仕は初めてとはいえ大学生の頃何度か経験があったこともあり日給も高いということにも釣られて引き受けてしまった。
支給された制服は上品な光沢のあるネイビーのツーピース、...ではあるもののジャケットの丈は短くスカートは座れば確実に太ももが露わになってしまうようかタイトな丈の短いものだった。
よく言えば女性らしさをふんだんにアピール出来る制服。
気合いを入れて背筋を伸ばし愛想笑いを浮かべながらシャンパンを運ぶ。
今日の事を彼に詳細は話していない。
『今日いつもお世話になっている友達がインフルエンザになっちゃって困ってたからその子の代わりにバイト行ってくるね』
とだけ伝えておいたのだ。
嘘はついていないけれどなんとなく狡い伝え方。
本当に浅はかだったと思う。
最悪の事態をその瞬間まで想像できなかったのだから。
「赤司専務、本日はご足労いただき光栄です」
「滅相もないです。先日の御社の提言、大変興味深い内容でした。またじっくりとお話を聞かせていただきたいです」
あまりに聞き慣れた、澄んだ声が耳に入った瞬間、私の心臓が大きく跳ねた。
嘘でしょう?、と息を呑んで顔は動かさずに視線だけをそちらに向ける。
仕立ての良いチャコールグレーのスリーピースに身を包み、ワイングラスを片手に穏やかな笑みをたたえているのは紛れもない、赤司征十郎だった。
背筋に冷たい汗が伝う。
まずい。よりによって、どうしてここに。
見つかったら大変なことになると足早にその場を離れようとした、その時だった。
「__おっと、すまない」
歓談に夢中になっていた初老の紳士がタイミング悪く後ずさりした拍子に私の肩へぶつかった。
手に持っていたトレイが揺れぐらりと傾くトレイの上に乗ったグラス。
「っ...!」
動揺して割れる、と反射的に目を瞑った私の手首を、誰かの手がが支えた。
同時にもう片方の手がトレイの縁をがっしりと押さえられた。
驚くほど無駄のない、完璧なカバーだった。
目を開けずとも私にはそんなことが出来る人が誰かなど分かりきっていた。
「失礼、怪我はありませんか?お二人とも」
本来私がするべき謝罪を即座に口にした。
私も慌てて頭を下げて紳士が恐縮して去っていくのを見届けた。
その間私の手首をずっと掴まれたままだった。
恐る恐る視線を合わせると思った以上に近くにあった端正な顔。
その表情は公の場に出る上で相応しい、少し口角が上がった完璧な笑みを浮かべていた。
でも彼をよく知る者が見れば気付く。
その美しく宝石のような目が全く笑っていないことを。
「...名前」
低く囁かれた自身の名に肩がびくりと跳ねる。
「せ、征十郎.....」
「こんな場所で君に会えるとは思ってもみなかったよ」
視線が私の顔から首元、から胸元を通り腰、さらに極端に短いタイトスカートから伸びる素足へとゆっくりと降りていく。
まるで検分するように、値踏みするように。
その視線が痛くて火傷しそうなほどの熱と居心地の悪さを感じた。
「その姿は......何かの冗談かい?」
「あ、あの...これは、友達が、その、どうしてもって頼まれて...急遽、人手が足りないって...」
「そう、...友達の頼み、ね」
彼は喉の奥で小さく息を漏らすと、掴んでいた私の手を離した。
そして、私の前に膝を付き足下を見た。
「...征十郎?」
「普段あまりこういった靴を履かないから靴擦れを起こしているんじゃないか?」
見透かされたように言い当てられ言葉に詰まる。
彼は立ち上がり、すぐ近くを通りかかった別のスタッフを手招きし私の手に持っていたトレイを取り上げた。
「彼女は少し貧血を起こしたようだ。控室で休ませるから持ち場を代わってあげてほしい」
「あ、はい! かしこまりました、赤司様」
有無を言わせぬ自然な指示に、スタッフは一礼してトレイを受け取りその場を離れた。
残された私を彼はテラスへ続く静かな廊下へと促した。
ホールの喧騒も重厚な扉の外に出れば遮断された。
少し歩いて照明の薄暗い場所まで来たところで彼は歩みを止め振り返った。
その表情から公の場で被っていた仮面が剥がれ落ち、眉根が寄せられている。
「...驚いたよ。君がここに来ていることもだが、...その格好はなんだ」
「っ、ご、ごめんなさい...っ!...衣装は選べなくて、現場に着いたらこれが用意されてて...」
「君は正規のスタッフではない、ろくに労働条件も知らなかったのだろう。断ることもできた筈だ」
一歩、彼が間合いを詰めた。
壁際へ追い詰められ、背中がひんやりとした冷たい壁に触れた。
「君はこんな姿を不特定多数の男に見られることを嫌だと思わなかったのかい?」
「それは...ちょっと恥ずかしいかったけど...でも、仕事だし...」
「仕事なら君はどんな服でも着ると?」
彼の手が私の腰に触れる。
薄いスカートの生地越しに彼の体温がじんわりと伝わってきた。
そしてその手がスカートの裾をほんの少し引き上げた。
いつ誰が通るかもわからないこんな場所で、普段の彼であればあり得ない行為。
彼の苛立ちが伝わってくるよう。
「...悔しいな」
「...え?」
ぽつりと溢れた彼の本音。
「綺麗だと思った自分に腹が立っているんだ。他の誰の目にも触れさせたくないのに君を見た瞬間ただ見惚れてしまった」
掠れた吐息が耳元を掠め、心臓が跳ね上がる。
怒っているはずなのに、私に向けられる眼差しはあまりにも熱く、切実だった。
「名前、君に言いたいことは山ほどある、がまずは...」
彼は自身のジャケットを脱ぎ、私の肩へとふわりと掛けた。
彼が纏っていた体温と品のある香水の香りが私を包み込んだ。
「これ以上無防備にその姿を晒すのはやめてくれ」
肩を抱き寄せられ額をそっと彼の胸元に押し当てられた。
シャツ越しに伝わる彼の鼓動は私のそれと同じくらい、速く鳴っていた。
「...後のことは俺が処理しておくからパーティーが終わるまで僕の控え室で待っていてほしい。...お説教は家に帰ってから、じっくり聞いてもらうよ」
耳元に落ちてきた低く甘い声に私は抗うことなくこくりと頷くことしかできなかった。
玄関の重い扉が閉まり、カチャリという鍵をかける無機質な音が静かな玄関に響いた。
ホテルから帰る車内は、息が詰まるほどの沈黙だった。
彼のジャケットを羽織ったまま、後部座席で小さくなっていた私は彼の横顔を一度もまともに見ることができなかった。
ただ窓の外をぼんやりと見つめ、彼も静かにハンドルを握り普段通り、スマートな運転で彼の家へと運ばれた。
「座りなさい」
靴を脱ぎ、リビングに入った途端簡潔に示された指示。
部屋の中央にある革張りのソファーに座る事を促され、私は逃げ場を失った子どものように、おずおずと腰を下ろした。
ジャケットを脱ごうとすると「そのまま着ていろ」と制される。
彼はネクタイを緩めることもなく、私の正面、ローテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろす。
足を組み、両手を膝の上で組んだその佇まいは異様なプレッシャーを感じさせた。
「さて、何から話してもらおうか、名前」
落ち着いた声色、声を荒らげるわけでもない。
それがかえって、彼の苛立ちの深さを際立たせていた。
赤い双眸が、射抜くように私を捉えて離さない。
「...ごめんなさい」
「謝罪を求めているんじゃない。君がなぜ、あの場にあのような姿で立つに至ったのか、その経緯と判断基準を説明してほしいと言っているんだ」
事務的ですらある問いかけは今の私には尋問のように感じられ胃のあたりがきゅっと縮む感覚を覚えながらも殆ど言い訳にしか聞こえないであろう経緯を語り始めた。
「...急に、付き合いの長い友達が熱を出して...人数が足りないと違約金が発生しちゃうって泣きつかれて…私、背丈もちょうど同じくらいだから、その、どうしてもって頼まれて...」
「友人の困窮を助けたいという動機そのものは否定しない。だが君の危機管理意識はどうなっているんだ?」
眉ひとつ動かさず、淡々と私の考えの甘さを指摘していく。
「君が反省すべきことは第一に、契約内容やドレスコードの事前確認を怠ったことだ。緊急時だったからとろくに詳細も確かめずに引き受け、現地で渡された露出の高い衣装を馬鹿正直に着用した。それは単なる思慮不足だ」
「...で、でも更衣室で渡されて、今さら断ったら迷惑がかかると思って...」
「他人に迷惑をかけることと、君自身が危険に晒されること、どちらを優先すべきか判断がつかないのか?」
ぐ、と言葉に詰まる。
彼の理路整然とした正論に反論の余地などどこにもなかった。
「あのレセプションは格式こそ高いが、酒が入れば理性を失う輩も少なくない。そんな危うい空間で歩き慣れないヒールでよろめき客の男と接触しかけた。もし僕がいなければ、ゲストにワインを浴びせ迷惑をかけていたかとしれない、相手を怒らせて過剰に責め立てられていたかもしれない。そして君は給仕の立場である以上それを受け止めることしか出来ず理不尽だと感じたとしても受け入れ謝罪しなければならない。...あるいは、君のその無防備な格好を品定めされ、よからぬ誘いを受けていたかもしれないんだぞ」
淡々と紡がれる言葉にわずかな熱と苛立ちが混じっていく。
膝の上で組まれた手に力が込められている。
「俺がどれほど肝を冷やしたか、君には想像もつかないだろうね」
「...征十郎」
「君が誰かの好意や義理のために身を削る癖があるのは知っていた。だが、俺に嘘をつき、いや、『友達の手伝い』とだけ言って実態を隠し、あのような場で見知らぬ男たちにその足を晒していたことを見逃せる程俺は心が広くない」
冷静な、それでも最後の一言には明らかに個人的な独占欲と怒りが滲み出ていた。
頭ごなしに怒るのではなく、正論で外堀を埋めてから核心にある感情を静かに突きつけてくる。
彼らしいやり方だと思った。
私も膝の上でぎゅっと手を握りしめ消え入りそうな声で謝罪の言葉を口にした。
「...本当に、ごめんなさい。友達を助けなきゃって焦って、征十郎の言う通り。自分の身を守らなきゃ、なんて全然考えてなかった。それに...征十郎が嫌な気持ちになるってことも、想像が足りてなかった...」
視界が滲みそうになるのを必死に堪える。
厳しい言葉のひとつひとつが、すべて私を案じるがゆえのものだと痛いほどわかっているからこそ今の私に泣く権利などないと分かっているから。
沈黙が部屋を満たす、壁の時計が刻む秒針の音だけが響く中、衣擦れの音がした。
影が落ち、目の前に彼が立つ。
恐る恐る顔を上げると、彼が私のすぐ側で片膝をつき、私を見上げていた。
「...顔を上げなさい、名前」
彼の表情に先程までの厳格な赤司征十郎としての仮面は、どこにもなかった。
少しだけ疲れたように、そして困ったように眉を下げた私の恋人の顔。
冷たくなった指先が私の頬にそっと触れる。
その瞬間ぽろりと零れ落ちた涙を、親指の腹で優しく拭った。
「厳しいことを言ったのは謝るよ。...だが冗談抜きで、心臓が止まるかと思ったんだ」
「...うん」
「君が他人の目に晒されることも我慢ならないが、それ以上に、君が傷つく可能性に気付けなかった自分が許せなかった」
彼の手が私の頬から首筋、そして肩に掛けられた自分のジャケットの襟へと滑る。
ぐっと引き寄せられ、彼の腕の中に閉じ込められた。
耳元で、深く、長い溜息が吐き出される。
「...まったく、君は俺をどれだけ翻弄すれば気が済むんだ」
「ごめん、なさい...もう、絶対勝手にあんなバイト引き受けないから......」
「当たり前だ、次はないよ」
抱きしめる腕の力が強くなる。
骨がきしむほどの強さで抱きしめられながら、その奥にある切実な恐怖と執着が伝わってきた。
私は彼の背中にそっと手を回した。
「...本来俺の好みではない筈なのだけれど...君が纏っているとそれすら魅力的に見えてしまうのだから、本当に困った話だよ」
低く落とされた声音にわずかな艶が混じる。
彼の唇が、私の耳朶を甘く噛み、そのまま首筋へと熱い吐息を落とした。
「さぁ、仕事の話はここまでだ。...ここからは俺にこれだけの心配をかけたことに対し責任を取ってもらおうか」
そう言って彼は妖艶な笑みを浮かべ私を抱き上げた。
彼が何をしようとしているかなんてすぐに気が付いた。
「じ、自分で歩けるからっ!」
「いいから大人しく俺に掴まっていなさい。それに君は慣れないヒールで足を痛めていただろう」
抗う隙など微塵も与えない腕の力。
彼はそのまま私を抱きかかえ静かな足取りでリビングを後にし、寝室へと向かった。
清潔なベッドのシーツの上に私を降ろす動作は驚くほど慎重でまるで壊れ物を扱うかのように優しかった。
許してもらえたのだろうか、そんな淡い期待が胸を掠めるほど。
彼は私をゆっくりとベッドに寝かせ、彼自身も私に跨るようにベッドに両膝をつき、私の両脇に手をついて覆い被さってきた。
逃げ場を完全に塞がれた視界いっぱいに、至近距離の彼の顔が広がる。
「...さて、横になったところで、先程の続きを始めようか」
静かに告げられた言葉に、背筋を冷たいものが駆け抜けた。
優しく運ばれたのは赦されたからではなく、単に私が逃げ出さないように計算されていたにすぎなかったのだ。
彼の瞳が至近距離から私を射抜く。
先ほど見せた厳格さとは違う、逃げ場のない熱を孕んだ、逆らうことを許さない絶対的な眼差し。
「さっきは表面上の危険性について話したが...ここからは、君の2度と同じ事を繰り返さぬよう身体に教えこませてあげるよ」
彼の言葉に顔が血の気が引いた。
何かを言おうとして、でもそれは言葉にならずに、私はただパクパクと餌を待つ魚のように開閉を繰り返した。
「当然だろう。君は自分がどれだけの愚行を犯したか、まだ芯の部分で理解していないのだから」
彼の手が私の首筋に伸び、親指が私の脈打つ頸動脈のあたりをゆっくりと撫で上げた。
ぞくりと鳥肌が立つ。
「君の姿を見て欲情した男の理性が崩れた時どんな行動に至るか身を持って知りなさい」
「そ、えっ?あっ...」
一つ一つ、丁寧に外されるブラウスのボタン。
「もっと乱暴に暴かれた可能性もあっただろう。でも俺もそこまで鬼じゃない」
そのままはだけたブラウスの中に手を入れられて背中のホックに手を回した。
そしてそれは慣れた手付きで外される。
「...ちゃ、ちゃんとしたホテルのお仕事だったから...」
どう考えてもその言い訳は悪手だと分かっていたのに気付けばそんな言葉を口にしてしまっていた。
「だからおかしな真似をするような輩はいないと?君のその根拠のない性善説はどこから湧いてくるんだ?相手がどんな身分であろうと男は男だ。酒は理性を奪う、例え触れずとも君を視線で犯す者もいた筈だ。...現に君にぶつかりかけた男はあの後も君の脚に視線を向けていた。君は俺にバレたことに動揺し気付いていなかっただろう」
彼の指先が胸の先端を弾いた。
普段であればもっと優しく触れられるその場所をお仕置きだと言わんばかりにきゅっと摘まれる。
「っ...!」
「もし俺があの場にいなかったら?あの男に絡まれ、強引に手を引かれ、連絡先を迫られたら、君はあの状況で毅然と断れたのかい? 場の空気を壊したくない、友人に迷惑をかけたくないという理由で曖昧な笑みを浮かべて流されていたんじゃないのか?」
「そ、そんなこと...っ、あっ...」
柔らかな胸に歯を立てられた。
右手はスカートを捲り上げやや強引にストッキングごと下着をずり下げられた。
ビリッ、とストッキングが破れた音がした。
「その理屈を否定できる根拠を提示しなさい。俺が知る限り、君押しに弱く、他人の都合を優先して自分を蔑ろにする。...現に今夜がその最たる例だろう」
淡々と、冷徹に、私の甘い考えの逃げ道をことごとく塞いでいく。
逃げ場を完全に奪われ言い返す言葉が何も見つからない。
彼の言う通りだと思った。
もし本当に絡まれていたら、私は友人に迷惑をかけまいと、嫌だと言えずに困り果てていたと容易に想像出来た。
「...ごめんなさいっ、...征十郎の、言う通りです...あっ...!」
いつもより乱暴に触れられているというのに私の身体は彼の手によって暴かれていく。
彼に触れられる悦びを知っているのだから。
「そして最後だ。これが一番重大な問題だよ、名前」
下着を完全に抜き取った後彼の手が、ぐいっと私の太ももを持ち上げ既に潤った場所を露わにした。
そして顔を近づけリップ音を立ててソコに唇を落とした。
「俺という恋人がいながらなぜ事前に一言の相談もなかったんだ?」
「...っ」
「君が俺に伝えたのは『今日友人のピンチでバイト行ってくる』、それだけだ。どこで、どんな仕事をするのか、君は一切俺に言わなかった。それは君は正直に話せば俺が止めると分かっていたからだろう?」
何もかも見透かされている。
彼に隠し事なんて出来るわけがないなんて分かっていた筈なのに。
本当にどうして私はこんな浅はかなことをしてしまったのだろう。
彼の熱い下が濡れそぼった中を弄り敏感な場所に触れた。
責められているというのにどうして今私の身体はこんなに熱を帯びているのだろう。
「俺が過保護すぎると思うのか?俺が君を思って与える忠告は過剰なもので聞くに値しないと悔っていたのか?」
「っひ、っ、やぁ…っ、せい、じゅう、ろ、ぉ...っ!」
じゅるりと音を立てられた場所に指が挿入された。
その指が動く度にぐちゅりとイヤらしい音を立てることが私の羞恥心を煽る。
与えられる快感に抗いながらそんなことない、と必死で首を横に振れば彼は小さく笑う。
そして体を起こしベルトのバックルを外しボタンを、ファスナーを下げ下着ごとずり下げ私と同じくらい熱く、硬くなったそれを私のソコに宛がった。
「俺がどれだけ君を愛し大切にしているのかを改めて刻みつけてあげるよ、名前。そして君は選択を間違えたことをきちんと理解し反省するだ。今夜俺を怒らせた罪をしっかりと自覚することが出来たら今回の事は水に流してあげるから」
そう言って一気に奥まで貫かれた。
逃げる事は許さないという程強く掴まれた腰には彼の爪が食い込んでいた。
最初から激しく打ち付けられ徐々に考えることすら出来なくなっていく。
甘い罰を与えられながら私は彼に染められていく。
もう抗うことなど考える余地もない程、強く、激しく、いやらしく。
「君はただ俺を信じ俺に愛されていればそれでいいんだよ、...名前」
それは支配と呼ぶに相応しい、私に与えられた彼の愛だった。
end