04:貴方の魅力も苦労も存じております

「とても勉強になりました。
この学園の生徒でもない私に本気でご指導いただいた事、心より感謝申し上げます。」

私の採用試験の相手はクロノス先生だった。
コンピューターゲームで対戦した時とは比べ物にならない程クロノス先生は強かった。
きっとデッキを知らなかったら私など呆気なく負けていただろう。
努力を続けて今デュエルアカデミアにて実技指導を行っているクロノス先生への罪悪感を少しでも和らげたくて深く深く頭を下げた。

「顔を上げるノーネ。
セニョーラ名前は素晴らしいデュエリストなノーネ。
貴女はきっとプロを目指せますーノ。
それでもこの学園で雑用係などしたいと本気で言っているーのデスカ?」

私に敗北したクロノス先生は私にそう言った。
この頃のクロノス先生ならば何か罵倒の言葉をぶつけられても仕方ないと思っていた。
そんな風に思っていた私を否定するようにクロノス先生は私を認める言葉をくれたのだ。
ズルで勝利したも同然の私はこの時どうしようもないほど胸が痛んで涙が出そうになった。
それでも大人の私が泣いてしまうなど許されない、ぐっと堪えて、はい、としっかりクロノス先生の眼を見て答えた。

クロノス先生はそんな私を見てフッと笑った。

「プロとして活躍するようになる貴女の成長を見守って見たかったのですーが、残念なノーネ」

そう言って私に手を差し出した。
私はその手を握り返す。

「そのお言葉心の底から嬉しく思います。
貴方のような先生に出会えた事を本当に幸せに思います。」

「だったらやっぱりプロを目指せば良いと思いまスーノ」

感謝を伝えればまたそう残念そうに告げられた。
そしてそのデュエルを見守っていた鮫島校長からも惜しまれつつも、当初の約束通りデュエルアカデミアで働く事を認められ晴れて職を手に入れた。



クロノス先生は本当に教師らしい良い先生だった。

これから起こる数々の出来事、貴方の魅力も苦労も全て存じております

何も出来ない私をどうか赦さないでください