05:きっと貴方に惹かれてしまう

(ああ、ついにあなた達の物語が始まるのね)

入学式の日沢山の新入生達が島にやってきた。
そして気が付く。
主人公である遊城十代が入学してきたということを。
原作がスタートしたのだということを。

入学式で校長先生の話を聞きながら眠気で船をこぐ彼を見てなんとも言えない感情を抱いた。

これから彼らは何度も苦しんで傷付きながら成長していくのだということを。

大好きなアニメだった。

沢山の感動も笑顔も貰った。

きっと彼らにとって全てが必要な事だったのだと思う。

それでも傲慢な私は彼らがずっと子供のままで笑っていられたらいいのに、そんな事を考えてしまった。

どうにもここに来てからは感情的になりすぎている、そう自覚してぐっと目頭を押さえ気を引き締めようとしたその瞬間、先程まで眠気と戦いながら船をこいでいた十代と目があった。

私は堪えきれずに一筋の涙で頬を濡らしてしまった。

そんな私に驚いた表情を見せる十代から逃げる為に音を立てずに速やかに式場を後にした。


ああ、やはり駄目だった
悲しい使命を持った主人公だからという事情だけではない
大好きだったのだ
それでも手が届く事は決してない
そんな人が今目の前にいるのだ
距離をとらなければ


きっと私は貴方に惹かれてしまう