私が全て変わってあげられたらいいのに、そんなことを考える私は浅はかで傲慢なのだろう。
顔色が悪かったらしい私を見て、この学園で大人として働く者の責務を果たさなかった私を責める人はいなかった。
それがまた私の胃をキリキリと締め上げた。
誰もいない保健室で水で胃薬を流し込んだ。
この世界で、この島で生きると決めた以上覚悟はしていた筈なのに結局の所私はそんなもの出来ていなかったのだ。
(それにしてもあんなに動揺するだなんて思わなかった)
私はどうにもこの世界に来てから弱くなったように思う。
身体と同時に精神まで退行してしまったのかもしれない。
しっかりしなければ、両手で頬を叩き気合いを入れ保健室のドアを開けた。
「っ、なっ」
私は扉のすぐ向こうにいた人物に驚き後ろに転びそうになった。
その人物は慌てて私の手を取り転ぶ事を阻止したのだった。
「大丈夫か?えっと、名字、先生だっけ?」
私の手を取ったのは遊城十代だった。
何故だろう、彼は保健室に頻繁に現れるような生徒ではない筈だ。
今私の手首を掴んでいる手の温度に改めて目の前の少年が自分と同じように確かに存在しているのだと改めて実感する。
それが嬉しくもあり恐ろしくもあった。
「ごめんなさい、手を貸してくれてありがとうございます。
···私はこれで」
やんわりと手を振りほどきそこを足早に立ち去ろうとする。
そこで再び声をかけられる。
「なぁなぁ、なんか噂で聞いたんだけどあんたもクロノス先生とデュエルして勝ったんだろ?
なら俺ともデュエルしてくれよ!」
振り返って見た彼の表情はアニメで見た十代そのものだった。
そのわくわくした表情に呼吸を一瞬忘れて固まってしまった。
「、ごめんなさい、私はただの事務員だから。ここには素晴らしい先生方が沢山いらっしゃるのでその先生方にご指導お願いしてください」
なんとか出来るだけ自然に断りの言葉を口にした。
十代はなんとも言えぬ表情をしている。
しかしそれを気にしている訳にもいかない。
私は目の前の彼から距離を取りたかった私はそれを無視してその場を立ち去った。
私の背中に声をかける彼を無視して。
出来る事なら辛い思いをさせたくない
それは過ぎた願い
傲慢なのも理解している
それでも願ってしまう私は
口には出しません
だから