万丈目君が帰ってきた。
とても強くなって。
彼と十代君のデュエルとても心を打たれた。
そして二人の成長が私にはあまりにも眩しかった。
「あの、名字先生」
聞き覚えのある声だ。
どうしようと一瞬悩むけれど立ち止まってしまった以上それを無視するわけには行かない。
「こんにちは、どうかしましたか?」
その声の主は予想通り明日香ちゃんだった。
「あの、この前はご迷惑をおかけしました」
そう言って頭を下げた。
もうあの時しっかりお礼は言ってもらったのに、彼女はやはり真面目な女の子だった。
「もうお詫びも感謝の言葉ももらったから気にしないで」
そもそも私が勝手にしたことだ。
それを恩着せるつもりもない。
「でも、·····はい、わかりました」
彼女は少ししょんぼりとした表情で了承した。
その姿はまるで叱られた子犬のようでとても可愛らしかった。
「私はここの教師ではないのだからそんなに敬ってもらわなくても大丈夫だよ。気にしないで」
ここでの年齢は貴方達とそう変わらないだろうしね、と心の中で呟いた。
「······あの、」
明日香ちゃんは何か言おうとして言葉を躊躇った。
何を言おうとしたのだろう。
「どうしたの?」
少し悩んだ表情を見せるも覚悟を決めたような顔になり私にこう言った。
「···名前、さん·····そう呼んでも、いいですか?」
彼女は私を名前で呼びたいと申し出た。
どうすべきなのか。
この世界での名前呼びのハードルは案外低いのかもしれない。
彼女の友人達を除いてもクロノス先生やトメさん、セイコさんは名前で呼ばれている。
だとしたらここで強くそれを否定するのはおかしいかもしれない。
「いいよ」
それで良いと伝えると明日香ちゃんはパァッと明るくなった。
なんだか計算ばかりしている自分が嫌な人間に思えてくる。
「名前さんと話したです。
でも今は授業があるので」
最後にもう一度私にお礼を言って彼女は足早に教室へと向かった。
その背を見て間違えてしまっただろうかと少し後悔した。
しかしそれと同時に喜んでしまった自分もいる。
気を引き締めないと持っていかれてしまう
心を
この世界に居続けたいという希望を