一つ深呼吸をしてレッド寮の彼の部屋をノックした。
明日香ちゃんにああ言ってしまった以上何もしない訳にはいかないのだ。
翔君が扉を開けてくれた。
中にいた3人は私の訪問に驚いていた。
「遊城君、少しいい?」
十代君は素直に頷いて私の後を追って外に出た。
「急にどうしたんだ?もしかしてセブンスターズがもう!?」
私が自ら遊城君に声をかけた事など一度もなかったのだ。
そう勘違いしても仕方はない。
違うと首を振った。
「狙われるのは一番弱いと思われている貴方が一番かもしれない、そう心配している人がいるの。
分かっているとは思うけど、十分に気をつけて、心の準備をしていてほしいの」
それを伝えたかっただけなの、そう伝えると十代君はつまらなさそうにふーんと言った。
「なぁ、先生は?」
「え?」
「先生はどう思う?俺が一番弱いと思ってる?俺の事心配?」
彼がどれだけ強いかという事を私ほど明確に知っている人はいないだろう。
勝敗の行方すらも。
それでも
「遊城君はとても強いデュエリストだと思う。
きっと負けない。
でも心配よ、だって大切な···」
そこまで言って言葉が詰まった。
私は彼を大切ななんだと言おうとしたのだろう。
まさかそんな事を、心に浮かんだその言葉を必死で否定する。
「そっか。
大丈夫だよ先生、俺負けないから!」
その様子を見て私が不安を感じているととらえたのか、十代君は私の不安を打ち消すような力強い言葉で逆に私を励ました。
(何をやっているんだ、私はこの子達のフォローを頼まれたというのに)
「ぜってー負けないから!俺の事信じてくれてサンキュー!」
夜空に輝く月を背負った彼の姿は眩しかった。
彼はやはりヒーローで私は力なき一般市民にすぎなかった。
私がここにいる意味はやはりなかったのだろうか