「名字さん」
丸藤君から声をかけられた。
初めての事だ。
「吹雪の様子は、どうですか?」
彼にとっては大切な親友だ。
大人びて見えても不安はあるのだろう。
吹雪君の普段の性格を知っていれば彼の変化にショックを受けただろう。
「まだ眠ったままよ。
私には何も出来ないけれど、それでもきっと、必ず貴方の友人は貴方達の元に帰ってきたいと思っている筈だから」
きっと大丈夫、そう言葉を繋げてもいいのだろうかと一瞬悩んだ。
それでも彼は強い人間だ。
「絶対に大丈夫」
この時私は上手く笑えていたと思う。
丸藤君は少しだけ口角をあげて、はい、と返事をした。
「自分に何かあった時、翔の事をお願いできますか」
なぜ彼がこんな事を言うのだろうか。
考えたくなかった。
ここは笑って絶対に大丈夫だと言うべきなのか、それとも弟さんの事は任せておけと励ますべきなのだろうか。
「翔や明日香、十代にクロノス教諭からも聞いています。貴方が尊敬出来る人だと言う事を」
私の何を聞いたのだろうか。
私が彼の信頼を得るに値する人間だというのだろうか。
「俺は負けません。それでもおそらくこの戦いらそれだけではいと思います。」
彼はやはり賢いのだろう。
彼の代わりに出来る事が私にいくつあるというのだろうか。
それでも私などに頭を下げる丸藤君を見て自分もなにかしたいと思った。
「私に出来ることなら、なんでもしたいですよ」
丸藤君は安堵の様子を見せ再び私に頭を下げた。
私に何が出来るだろうか