(これが現実とアニメの違い、なの?)
カミューラとクロノス先生のデュエルが始まった。
全てがこの世界のあらすじ通りだった。
全部、全部知っていたのに
(苦しい)
まるで酸素の薄い高山にでもいるような、なんとも言えない空気が漂っていた。
おそらくそれを感じているのは私だけではないであろう。
「····クロノス、先生」
不安で仕方がなくなった私は思わず彼の名を口にした。
「大丈夫、クロノス先生は強いぜ!」
それを聞いた十代君は私の不安を吹き飛ばすように力強くそう言った。
子供に何を言わせているのだろうか。
クロノス先生が強いということなど今の私はとっくに知っていたのに。
どうして、どうして彼は敗北するのだろう。
どうして私は先の未来を知っているのだろう。
クロノス先生は大丈夫だ。
これからもずっとこの学園で生徒たちを守ってくれる。
知っている筈の明るい未来に涙するのはなぜだろう。
きっと私がそれだけこの世界の住人を愛してしまったせいだろう。
貴方の事も大好きなのです、先生。
闇のデュエルを理解したクロノス先生が皆にそれにけっして屈してはいけないと説いた。
皆がクロノス先生の真っ直ぐなその言葉に聞き入った。
この言葉がこれからさきどんなに大きな意味を持つかわかる私には辛くて仕方がなかった。
何度も何度もこんな事を彼らは乗り越えていかねばならない。
「、せんせ、い」
「大丈夫だ、名前」
その時、この現実を受け入れきれずにいた私の手を十代君が握った。
「俺が絶対に、取り戻す」
そう言った彼の横顔はとても凛々しかった。
私の不安を吹き飛ばす程のエネルギーを感じた。
私はそれが悲しくて悔しくて仕方なかった。
私は永遠にこの世界に溶け込むことは出来ないのだろうか?