何がここまで彼を焚き付けたのかはわかりません。
それでもその為に自身の身体すら投げ出した彼を私等が責める事が出来る筈がありません。
十代君が、彼と交流のあった皆が傷付いている。
私はそれをどこか他人事のように見ている。
私には悲しむ資格なんてないのだ。
全てを知っていて、それを黙って見ていただけの私には。
全てを知っていただなんてなんと自惚れた発言だろうか。
私は私の心すら理解していないのに。
十代君が、明日香ちゃんが、翔君に隼人君、万丈目君が今本心で何を考えているかなんでまるで想像出来ないのに。
私が知っている彼らの心など彼らのほんの一面にすぎない。
それは大徳寺先生にしても同じだろう。
貴方の語った理想の裏に何があっただろう。
私がそれを理解するのは一生かけても無理だろう。
それがとても悲しい。
「(おつかれさまでした)」
口に出して伝える事など出来ない、それでも私は心の中で大徳寺先生、そして十代君に敬意を払った。
ファラオが大徳寺先生の魂を飲み込んだのを見た。
こうなってからの彼はもう今日までの彼とは違う。
次に私が彼に会う時は訪れるのだろうか。
おそらくそんな日は来ない、そんな気がした。
「(もしまた会えたなら、先生のお話、沢山聞かせてほしいです)」
どんな話でもいい、ただ貴方と話がしたいと心から願って貴方に挨拶を
「さようなら」
またどこかで、そう言えなかった私はこの時知っていたのだろうか