まんじゅしゃげ









「んーっ!いいてんきー!」


大きく伸びをして息を吸い込めば、心地よい冷たい風が鼻を擽る

昨日はお腹いっぱいにお肉を食べたからか、なんだか今日は元気いっぱいだ
お父さんとお母さんはどうやら遅くまでお酒を飲んでたみたいでまだ寝ている
でもこの辺りの探索はしたくて、書置きだけして出てきたのである


所々色の変わった木々を眺めながら、迷わないように木に目印をつけながら森を進む
時々猿などの自然動物に出会いながらも、熊じゃないことを安堵しながら森を進んだ

都会では嗅いだことのない、自然の香りを感じながらも突き進んでいけば、ぱっと開けた場所に出る




「……うわぁ……」




言葉に出ないってこのことなんだろうか


一面彼岸花が咲き乱れ、まるで赤い絨毯のようだ



(彼岸花って、川辺に咲いてるのしか見たことないや)



確か球根に毒があるんだったっけ?

なんて考えながら花を踏まないように彼岸花畑へと入り込む



「きれい……」



赤い彼岸花の花畑に、思わずうっとりと見惚れる



「……かつきくんの、ひとみみたい」


大切な友だちの、勝気な瞳を思い出し、ふふ、と笑いをこぼす

少しだけ開けたところがあったので、そこに腰を降ろして彼岸花を見つめる
下手に触ると被れるかもしれないので、触らないように匂いを嗅ぐ


「はぁ……おちつく、なぁ……」


そのままごろん、と横になって空を見上げる


(……つよくなるには、どうしたらいいんだろうなぁ)


あれから、自己流の鍛錬を続けるも、これといって体力が上がったり治癒力が上がる兆しはない
このままでは、大切な人も守れない……

空に手を伸ばして、ぎゅ、と拳を握り込む



「……つよく、ならなきゃ……」






しゃん、





「……!!」




突然聞こえた鈴の音に、飛び上がって周囲を見渡す



(なに……なんだか、不思議な、感じ……)



段々と周囲が霧ががってきて、目先が霞んでくる



(これは、一体……)



敵からの襲撃……?


いや、何も気配は感じない


感じるのは、ただの




しゃん




鈴の、音だけである







「……ちょっと、これは……」




ただ事ではない





だんだんと目の前が霞み始め、咄嗟に地面に手を着けば、ひと房の彼岸花を掴んでしまった




(なん、なの……)




そのまま視界は闇に閉ざされていき、体の感覚も鈍くなってくる




これは、どうしようもなく、




やばい、予感






瞼がだんだんと下がっていき、最後に見たのは





赤い、彼岸花だった







































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