こせい






「かつきくんの、『こせい』?」


手のひらをポンポンと小さな爆発をさせながら得意げにわたしをみる彼にそう尋ねれば、おう!と自信満々な返事が返ってきた

どうやら彼にも『個性』が発現したようで、公園で出会ってからずっと手のひらを爆発させている
ぽんっと、もうひとつ爆発させた彼の手を取ってみれば、彼は慌てたようにおい!と声をあげる
それをスルーしながらまじまじと手のひらを見つめるが、どうやら火傷はしていないようで安心する

ほ、とひと息吐けば、彼の手のひらから甘い匂いがして鼻を寄せた


「なんだかあまいにおいがするね」

「……」

「…はなびみたいなにおいかとおもったんだけど…かつきくん?」


ピシリと固まる勝己くんを首を傾げながら見上げると、彼はビクリと体を震わせて一歩わたしから後ずさる


「あ、あぶねーだろ!おまえのかお、ばくはしたらどうすんだ!」

「あたっ」


取っていた手を振り払われ、その手で頭に軽くチョップを入れられた
顔を赤くする勝己くんを見つめながら頭をさすれば、彼は『個性』について説明を始める


「なんかよくわかんねーけど、おれのあせがニトロ、ってせいぶんになってばくはつできるんだってよ」

「へぇ…あつくないの?」

「あんまわかんねー」


そう言って自分の手を見つめる彼に「かっこいい『こせい』だね!」と言えば、口元を緩めて嬉しそうに笑った


「おう!おれはこのちからでひーろーになるからな!」

「ヒーローに…」


オールマイトの話はたくさん彼から聞いてきたけど、まさか彼自身もヒーローになりたいと思っていたなんて…
初めて聞く彼の夢に、わたしの頭の中では大きくなった勝己くんがオールマイトのような画風で人を助けてる絵面が浮かんだ


「…うん、かっこいい。かつきくんならヒーローになれるよ!」


へらりと笑って彼の手を握れば、ぎゅ、と力強く握り返してくれた


「おれは、ひーろーになって、なまえをいっしょうまもるからな!」

「ありがとう、かつきくんにまもられるならとってもあんしん!」


喧嘩も強い彼のことだ、きっと強いヒーローになるんだろう
勝己くんがわたしを守るヒーローになってくれるなら、わたしは怪我をした彼を治せるようにもっと自分の『個性』を磨かなければ

自分自身も頑張らないと、と彼の笑顔に決心した







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