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「ふぅ。」

会社の同僚を見送った後、俺は一息つき後を振り返った。
視線の先には、廊下の奥の部屋。

「…」

スタスタと部屋に近寄り、ドアを開ける。
すると、ベット脇の影がピクリと動いた。

「ようくん。どこ行ったかと思ったら、ベット脇に隠れていたの?」
「…」
「すっご!よくこんな狭いところに一瞬で隠れられたね。」

彼はようくん。
高校の同級生で、俺の恋人。
俺がいる時はスウェット程度は着せてあげるけど、居ない時は何も着させていない。
そうやってクローゼットに鍵をかけて居れば、勝手に何処か行く事もないからだ。

ようくんはシーツだけを体に巻き付けて、キョドキョドと俺の顔色を伺う。
ちなみに今日は人がくるから、変な気を起こさない様にと服は着させなかった。
結局、悪さはしたみたいだけど。
俺の同僚に助けてもらおうとかね。

「あれ?もしかして、隣の部屋に聞こえる音立てたの、わざとだった?」
「ち、違うよ!わざとじゃ無い。」
「ふーん。」

しかし俺は素知らぬふりをする。
そもそも同僚を家まで呼んだのは、こう言う展開になるかなと予想してだ。
わざわざ勘がいい奴を厳選して。
今のようくんの焦り様、まさに狙い通りだ。

「後田くん、あの…その…っそろそろ、俺のこと家に帰らせてもらえないかな。」

おずおずと、しかししっりと。ようくんが俺に懇願してくる。
昔からようくんはこうだ。
弱くて儚いのに、妙に芯が通っている。
魅力的で可愛くて愛おしい。

「どうしよっかなー」
「…そんな…」

そんな訳で、愛おしすぎて虐めたくなる。
俺は勿体ぶって、この状態を楽しんだ。
ベットに腰掛けて足を組み、つま先にかけたスリッパをフラフラと揺らす。

「さっきだって、わざと音を立てて、助けてもらおうとか考えていたでしょ」
「…」

ようくんは床にへたり込んでうるうると俺を見上げ、違うと頭を振る。

「…そっ、そんなこと…ぜんぜん考えてないよ…」
「ふーん?」
「俺は、本当っ、本当に、後田くんの事が好き…だよ」
「んー」
「だから…もし此処から出ても…後田くんが俺を呼んだら、直ぐに駆けつけるよ。」
「へー」
「な、何をしていても、来るよ。本当だよ。」
「ほー」
「何よりも後田くんを優先する。優先するよっ」
「で、そんでそんで?」
「ぅ、…っ、もう…勝手に逃げたり、隠れたり、絶対にしない…。この前は、ごめんなさい。」
「うんうん。…で?」
「そ、その…つまり…だから…、っ、俺は、もう全部、全部後田くんのものだから…」
「あはっ!」

あー。
出来る限り引き伸ばして色々言わせるつもりが、つい嬉しくて笑っちゃった。

「後田くん…」

上機嫌な俺に、解放してもらえると思ったようだ。
ようくんの目がキラキラと希望で光っていて、とても綺麗だ。

「ようくん。」
「何?」
「キスして。」

ようくんはそっと俺にキスをした。

「だから、ちげーだろ。」
「っ!ご、ごめんなさいっ」

しかしまた嘘っぽい、ただ重ねるだけのキスをしてきた。
毎回注意しているのに、何でかなぁ?
本当にイラっとして、思わずドスを効かせた声で唸ってしまう。
ようくんは慌てて深いキスをしてきた。

「はぁっ、…っん、」

やっと俺が口を離すと、ようくんはどこかほっとした顔をしていた。

「はぁ…ようくん、最高に可愛い。」
「…それじゃぁー」
「最高すぎてしたくなっちゃった」
「えっ…あっ‼︎」

戸惑う顔が最高に可愛い。
俺は襲い掛かるように、ようくんに飛びついた。
押し倒し、ようくんが纏うシーツの中に手を滑り込ませる。

「あっ、う、後田くんっ、俺の、話は…」

話が有耶無耶になる前に、答えだけは聞きたいらしい。

「ダメに決まってんしょー」
「っ…な、なんで…」

そんなに意外なの?
ようくんは目をまん丸に広げ、戸惑っていた。
見開いた目が、うるうると涙で滲む。
それを見て俺はニッと笑う。
そしてようくんの首筋にキスをしながら、説明してあげた。

「いつでも来るっていうけど、俺はいつもようくんと一緒にいたいし。ちょっとでも、離れるなんて無理だから。」
「そんな……っ、うっ、うぅっ…っそんな…」
「あー、ほらほら、泣かない、泣かない。」

そろそろまずいかな。
追い詰めて虐めるのは好き。
だけど、ようくんにはずっと「ようくん」のままでいて欲しい。
俺は手を止めてよしよしとようくんの頭撫でた。

「ほら。今日が日曜だから、今我慢したらまた、月曜じゃん?」
「…」
「平日の日中は、ようくんフリーなんだからさ。ね?今だけ付き合って。今だけだよ。」

完全に絶望して沈む前に、薄い板を渡す。
まやかしの希望を、俺はようくんの耳元で囁く。
この板は虚像だけど、効果は絶大。
それだけを頼りに、ようくんは保っている。
俺もこのセリフを言うためだけに働いてるみたいなものだからな。

ようくんの瞳に色が戻るのを俺は目の端で見て、ほくそ笑む。

「っ゛っ、後田くん、後ろは本当にもう、痛くて無理…ごめんなさい。無理…い゛っっ」
「えー。さっきはなんでもするって言ってたのにー」
「それは…いつでも来るで、何でもするとは…」
「んー」
「いだっっ!」

確かに。
ようくんの後ろは赤く腫れていた。
土曜日は一日中、だったからなぁー。
ようくんが気持ち良く無いなら、こちらとしても嬉しくない。

「じゃぁさ、俺とようくんの合わせて、ようくんが抜いて。」
「え…」
「やれって。」
「…」

俺はベットヘッドを背に、深く腰掛けて笑顔でようくんを手招く。
ようくんはおれの上に乗っかり、恐々と俺のものを取り出す。

「あれー、ようくんの全然じゃん!」
「…」

ようくんのものは縮こまっていた。
身体はえっちに仕上げてるからすぐ反応するはずだけど。さっき後ろを弄ったのがまずかったかな?
きっと痛くて萎えたんだろう。

「後田くん、あの、俺…くっ咥えようか?」
「んー、でもなぁー、俺はようくんの温もりを感じたいしなぁ。」

ようくんは俺の要求にオロオロとする。
はぁ、かわい。
フェラも慣れちゃって。
最初は嫌がっていたのに、1番楽なのか最近では何気にやりたがる。
でももっと困らせたい。
恥ずかしい事をさせたい。

「じゃぁ、勃たせるとこまではやってあげるから、ここに座って。足広げて。」
「…なっ…え?なに、するの?…」
「いいから。」
「…」

極度に恥ずかしがり屋だからな。
フェラなんかよりもよっぽど嫌なんだろう。
だからこそ、服を隠す事でお手軽に監禁が出来るわけなんだけども。
羞恥で真っ赤なようくんが、ぎこちない動きで脚を開く。

「ぇ、あ…っぁ゛っ‼︎」

そして俺は何の前触れもなく、ようくんのものを口に含んだ。戸惑うようくんをじっと見つめながら、丹念に舌先で愛撫する。
ようくんの足は一応押さえているけど、すっごい力入っている。

「ぁっ、はぁっ、…っっ‼︎」

腰が砕けそうな位、気持ち良いのだろう。
真っ赤な顔を手で必死に隠して、かっわい!
ようくんの呻き声を聞きながら、そういば、フェラしてやったことはあんまり無いなぁー。こんなに反応するなら今度からもっとしてあげよう。
なんて考えた。

「ちゅっ、ん、…、よし、勃ったね!」
「…っ、はぁっ、…っ」 

ようくんのものは完勃ちで、顔は真っ赤で息は荒い。
煽るよね〜。

「ほらっ、やってよ。」

そして俺が再び深く座ると、フラフラとようくんが乗ってきた。

「はやくはやくっ。」
「っ」

ちゅくっ、ちゅくっ
「…ぅ、…ぁ、ふっ、…はぁっ、はぁっ、はぁっ…っ、」

エロいなぁ。
俺の上で、必死に自分のものと俺のものを合わせて抜く姿は壮絶だ。
全身茹で蛸みたいに真っ赤だし。

「手。おせーよ。」
「あぅっ…っごめっ、んっっっふっ!」

トロトロと手を動かすので、喝を入れ手を重ねてガシュガシュと動かした。
するとようくんは直ぐに出してしまったようだ。

「ふふっ、はっやっ!本当、ようくんってばえっち‼︎」
「ふっ、うぅ…っ」
「でも俺まだだから。付き合ってね。」
「っっつ‼︎」

手を止めようとするので、再び手をかさねて激し目に動かした。
達したばかりのようくんのものがビクビク反応するのが心地よい。
ようくん本体も、ガクガクと跳ねている。
自分を支えることもできず、俺の上に半ば崩れ落ちる。

「うっ、後田くっ…っ、やめっ、や…っ!」
「うん。」
「ほんとっ、…っぁ゛っ、」
「うんうん。」
「っ…っ」

ドアップで眺められるようくんのイキ泣きの顔も良い。

「んっ…っ」
「ぁあ゛…っ!」

俺が出す頃には、ようくんはもはや俺の上に倒れ込んでいた。

「ようくん。」
「はぁっ、はぁっ」

そんなようくんの顔を俺はそっと両手で支える。
ようくんがよろよろと上体を起こし、ぼんやりとした目でこちらを見た。

「俺は、ようくんが大好きなんだよ。ようくんは俺の世界でただ一人、色付きで見える人間。俺の人生でようくんに会えたことだけに意味があって、ようくんがいないと、俺は生きている意味を失うよ。」
「…」
「だから一人にしないでよ…。」
「…」
「お願い…ようくん…」

ようくんの目がオロオロと左右にぶれ、最後は諦めたかの様に俺に焦点を合わせ止まった。
そしてそっと俺を抱きしめる。

ちなみに今のは本当の本当に、本当の気持ち。
本心。
俺思うんだけど。
相手を惹きつけて縛る究極の方法は、結局のところ脅しや恐怖じゃない。
素っ裸にしてクローゼットに鍵をかけるのでもない。
弱い部分を曝け出して、相手に縋ること。

「ありがとう。ようくん。愛してる。」

俺はようくんに抱きしめられながら、彼の胸の中で目を閉じた。
返事がもらえなくても、凄く幸せだ。
……ごめんね。
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