指先より熱く
三木組長と並んで歩いていると、手が触れ合いそうになる瞬間が幾度もあって、何度目かのその機会に勇気を出して触れてみようと思った。けれど直前で怖気づいてしまって諦めかけた時、三木組長から訝し気な声で問われた。
「お前さっきから何がしたいんだよ?」
そう言われて、「えっと、その……」としか言えずにいると、唐突に図星を指されてしまった。
「手ぇ繋ぎたかったりすんのか?」
「え、いえ……あの、はい」
「は? どっちだよ?」
「つ、繋ぎたい……です」
「へぇ、そうかよ」
俺の答えに三木組長が不敵に笑った直後、「俺はやだね」とあっさりと否定されてしまった。
「そ、そうですよね、すみません」
傷付いてるなんて悟られたら、きっと重いと思われる。
だから俺は、無理に笑顔を作って気にしていない振りをした。
その瞬間、いきなり組長に手を掴まれた。
驚いていると顔が近付けられて、
「だってお前、手ぇ繋ぐだけで終わらす気だろ?」
と、まるで怒ってるみたいな声音で問われる。
何も言えずにただ三木組長の顔を見上げていると、掴まれていた手を強引に引っ張られて体勢が崩れた。
勢い余って三木組長の胸元に顔を埋めてしまう。
「す、すみません!」
慌てて離れようとしたのに、また手を引かれて俺は三木組長の胸へと戻る。
あれ?もしかして、わざとやってる?
そっと目線を三木組長の顔へと向けると、楽しそうに笑っているのが見えた。
「手ぇ繋ぐだけで終わらせたくねぇから、やだっつったんだ」
熱っぽい声でそう紡がれた後にされた口付けは、繋がれた指先よりももっとずっと熱かった。
2017.02.13 - 2017.03.13@拍手文