恋苦しさ

苦しいと感じるのは何故なのかと、どんなに考えても答えは出ないのに、その原因が三木さんだということだけははっきりと分かっていた。俺は三木さんと二人きりになるとどうやら息の仕方を忘れてしまうみたいだ。
対する三木さんはいつだって何も変わらない。それを悔しいと思うことも悲しいと思うことも無かったけれど、ただどうしてこんなことになるのかを知りたかった。

「何だかこの部屋、息苦しくないですか?」
「別に?」

そうですよね分かってます。こんな質問をしたって何も解決しないことも知っています。
だけど言葉が見付からない。どう訊ねれば俺が苦しくなる理由を教えてもらうことが出来るだろうか。いや、そもそも三木さんはその答えを知っているのだろうか。

「俺、三木さんと居ると苦しくなります」

唐突に告げた言葉は、受け取りようによっては失礼だと思われそうなものだったけれど、そこから真意を汲み取ったらしい三木さんは、数秒の沈黙の後に破顔した。

「俺のこと、好きだからだろ?」

簡単に出された答えはどれだけ頭を働かせても否定する部分が見当たらなくて、口を開けたまま言葉を失っていると、目の前の彼は自信ありげににやりと笑った。そのくせどこか気恥ずかしそうに見えるのは、俺の勘違いなのだろうか。

例え勘違いだとしても、そんな顔をふと見せる彼が愛しいのだと自覚する。
さっきよりも苦しくなってしまったこの空間は、酸素が薄れているのではないだろうか。

2016.06.20
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