脳内お花畑ヤンデレ夢主×二面性ci


『好きです。』

言った。ついに言ってしまった!好青年で誰にでも好かれる社内の人気者のチーノさんに、この陰キャ極めてる私が!

「えっ、と…僕を…?」

違うんです。困らせたかった訳じゃないんです。貴方の事になると感情溢れて止まらないんです。どうしよう、自分の不甲斐なさに涙までもが溢れそう。好き。好きです。

「あ〜、えっとな、ちょっと聞いてくれる?」

下がっていた視線を彼に向ける。困ったようにはにかむ貴方も素敵です。

「君の見てる僕ってホンモノじゃないねん。はは、ちょっと演技しただけで騙されんねんからちょろいわぁ」

ぱち、瞬きと共に何かが零れることは無かった。

『え…』
「驚いた?やんな。皆の憧れチーノさんっていう役が好きなんやもんなぁ。」
「そんでさ」

すぅっ、と彼の瞳が細められる。かっこいい。

「皆の憧れのチーノさんがまだ見たかったら約束事があんねん。」

高鳴りをおさえていた心臓が再び強く音を立てる。

「俺が〈役者〉って事はナイショ。な?」
「ま、君が言ったところで誰も信じてくれへんやろけどな。」

喉が弱く震えて掠れた声が出る。

『、つまり…』
「ん?」
『2人だけの秘密って事…ですよね?』

あぁ、自分の体温が上がっていくのを感じる!

「…は?」
『わたしだけ、わたしだけがトクベツなんですよね?はぁ、嬉しい。死ぬまで誰にも言いません。いや、貴方に殺されるまで…」

ゆっくりと伏せた目の先で彼はどんな顔をしているのだろう。整った顔を歪ませているのだろうか、口をぽかんと開けているのだろうか、
もしかしたら、もしかしたら、笑ってたり?

「…はは」

驚いて目を開くと、突然明るくなった視界に光が拒絶される。

「もう〈俺〉の時間は終わり。これからは僕は皆の憧れのチーノさんで、君とはただの仕事仲間。」

ぼんやりとした視界で、彼の顔がゆっくりと笑みを湛えるのがわかる。


「最後に、〈俺〉からの伝言な。」
「...きもちわる。」


トップページへ