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その出会いは衝撃的だった。


「ちょっと、ぶつかってきてその態度は何なの?」
「あ、…でも、その…私からぶつかったんじゃ…」
「なぁに、それじゃあ私達からぶつかったとでも?」
「私達が貴女みたいな『穢れた血』に自分からぶつかるわけないでしょう?」

あはは、と。

少女達の高笑いが廊下に響き渡る。


その前には涙を溜めて今にも泣き出しそうな女の子。

あぁ、あのネクタイはグリフィンドールか。可哀相に。
スリザリンの女生徒から目の敵にされてる訳だ。


僕は教室に向かう足を止めて、その光景を見ていた。

周りの生徒達は見て見ぬふり。

どうやらこの時間、ここを通るグリフィンドール生は少ないようだ。


それ故か、いつも以上に彼女達の言葉は辛辣だ。



「そういえば、貴女よくポッター達といるのを見るわね。」


びくり、と少女の肩が上がる。

ソレを満足気に見ながら、スリザリンの金髪の少女は続ける。


「勉強でも教えてもらってるの?あぁそういえば貴女成績良くなかったものねぇ。」


「ちょっと、失礼よ。ソレを口実にポッター達に取り入ろうって作戦なんだろうから。」


「あら、そうだったの。気付かなくてごめんなさいね。」



全く耳障りな会話と笑い声だ。

言い返さない少女を前に言いたい放題。

恐らくあの子は下級生だから思う様に言い返せないのだろうけど。



そろそろ次の授業の鐘がなる頃だろう。

それはさすがにマズイと、僕が少女達の所へ足を向けた時だった。



「え?マジで?君ジェームズなんかが良いの?止めた方がいいよ、アレは。」



唐突に廊下に響いた声。

よく見れば庭先にあるベンチからこちらを窺っている影。

ベンチに寝転がっていたのだろう、上半身を起こしてこちらを見つめている。


ネクタイの色からして確実にグリフィンドールだ。

驚きのあまりポカンとしている少女達とは対照的に、眉根を寄せている彼女は長い癖のついた黒髪を揺らして首を傾げた。




「あれ?お取り込み中?つうかいじめ中?」




あっけらかんとした彼女の問いに、スリザリンの女生徒は一瞬言葉に詰まる、が。




「え、えぇ。さっき廊下を歩いていたらこの子がぶつかってきて、謝りもしないから礼儀を教えていたのよ。この『穢れた血』にね。」


言ってやったとばかりに微笑むリーダー格の少女に、僕は嫌悪を隠せない。

よく言う。いじめていたのは目に見えている癖に。


ベンチに座っている少女は目を数回瞬かせた。



(綺麗だと、単純に思ったんだ)

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