井伊と同級生

「あー腹減った」

そうは思わないかね同級生くん、と私は隣の席の同級生に話しかけた。

「いやまだ1時間目だろ…朝飯食べたの?」
「食べた。もりもり食べた」
「じゃあなんで腹減ってんだよ…」

私にもわからないんだよねえそれが、と言うと「早弁はやめとけよ」と言われた。ごもっともである。

「井伊さん。これ先生から」

無駄にいい声で呼ばれ上を向くとそこには奈良坂くんこと奈良坂がいた。
あまり話さない女子に対しては敬語も使えるし粗雑じゃないのだから本当に腹が立つ。

何が腹立つって茜ちゃんが弟子なことが一番腹立つ。

「ありがとう奈良坂さん」

多分今の私は死んだ目をしている。

「お前奈良坂と何かあったの?」
「何もないけどライバルだよ」
「の割にはよそよそしいな」
「ただのクラスメイトだからね〜」
「好きなのか?」
「それだけはないです」
「変なやつ」