「なに、じろじろ見んといて」
一緒に暮らし始めて三ヶ月が過ぎた。千歳は相変わらずフラフラしていて、とうとう何日か家に帰って来ない日があるようになった。だからと言って、どうということもない。私も相変わらずだ。
家主がいない家に一人でいるというものに初めは慣れなかったが、何度も続けば慣れて来た。一人分の食事を準備することが面倒なことを知った。お湯を張るのが持ったいないので、シャワーで済ませるようになった。
寂しいなどは感じない。たまに思い浮かぶのは、あー、私なんでここにおるんやろっていう素朴な疑問。千歳と一緒にいるためなのに、その本人がいない部屋でただ時間が過ぎるのを待つ日が増えただなんて。
「そげん格好でおる遥が悪か」
「暑いんやからしゃあないやん」
「クーラー付ければ良かろ」
「一人やのに勿体無いやろ」
七月ともなると朝から日差しは刺さるように鋭い。夜は掛け布団を使わずにタオルケットだけで寝ているし、千歳のいない日は朝からパンツとタンクトップだけで過ごしていた。
昨日も学校が終わってから帰ってくる気配がなかったのでお風呂上りの格好のまま寝ていたら、珍しく朝から帰ってきたものだから、私のだらしない格好が千歳にじろじろと見られている。
どこへ行っていたのかなんてことは聞かない。聞いても仕方が無い。たとえ別の女のところへ行っていたとして、彼女でもなんでもない私には、なんの関係もないからだ。
「まぁあんたが帰って来たし、クーラー付けよかな」
「ああ、今から暑くなるこつばするもんね」
「はぁ?」
暑さで頭沸いてるんかと言いかけて、その唇が塞がれた。乱暴に舌が割り行ってきて、上顎を執拗に舐められる。これ、きらい。ぞくぞくして頭がふわふわする。正しい思考回路が奪われていく。
正しい思考回路なんか、もともと無かったかもしれないけれど。そんなものがあれば、千歳とこんな関係にはもつれ込んでいなかっただろうし。
「ん、千歳」
「なん」
「……するん?」
「いや?」
「まぁ、ええけど」
朝っぱらから盛ってんなぁ。そう笑うと千歳も笑う。この顔を見ると、ああ、やっぱり千歳って私のことが好きなのだということを再認識させられる。
ずるい、ずるい、ずるい。そんな顔して求められたら嫌だなんて言えないことは、もうとっくに知られてしまっているのだろうか。そう思うと情けなくて涙が出そうになる。
「んっ、う」
「遥、声。我慢せんで」
「我慢っ、なんか……してへっ、あっ、あ」
「うん、そいでよか」
千歳のものが突っ込まれて、その大きな身体に覆い被さられて、がくがくと体が揺さぶられる。私を喘がせて満足げに笑う千歳に寒気がした。
寮の頃は壁が薄いから隣に聞こえまいといつも声を押し殺していた。今の部屋は前よりはマシだけれど、それでもあまり大きな声は出したくないというのに。
「い、くぅ」
「ふっ、遥……俺も」
「あっあっ、ひあ……」
ゴムをしていなかったので、達する寸前に千歳が自分のものを私の中から抜き去り、剥き出しの太ももとタンクトップへ向けて白濁を飛び散らせた。
あー、さっき洗濯機回したばっかりやったのに。汚れたタンクトップをぼんやり見ていると、太ももの精液を塗りたくるように千歳が太ももを撫で回し始める。何がしたいのだろう。イッた直後なので動く気にもならなった。
「あっつ……」
「あー……クーラー付け忘れとったね」
「もー、汗とあんたのんでべっとべとや」
「なら風呂ば入ると?」
「……またやらしいこと考えてるやろ」
「あは、ばれた?」
(20120913)