ひとくち

「あー、歩いた歩いた。つっかれたー」
「お疲れさん、遥。茶でもしばきに行くか?」
「白石、その言い方おっさんくさいで」
「ええ部屋見つかって良かったなぁ。3LDKでトイレお風呂別、セキュリティもばっちりやし」
「まぁセキュリティはな、遥が一人の日もあるやろうし」
「白石心配症やなぁ。一日二日遥が一人でも平気やろ」
「あかんあかん。謙也、最近は怖いねんで。遥、一人の日でもちゃんと洗濯もんは男もん干しとくんやで」
「蔵、あたしアイス食べたいんやけど」
「折角白石が心配してんのにこいつ聞いてへんわ」
「おー、ええなぁアイス。ほな行こか」
「ほんで白石も甘々やし」
「あたしトリプルな、トリプル!」
「あかんて、遥すぐ腹下すから。せめてダブルやなー」
「……蔵、お母さんみたいや」



「わーい、あたしアイス屋さんで食べるん久々やー!」
「学校帰りに行くんはハンバーガーとかばっかやもんなぁ」
「白石、俺席とって来るから注文しといてや」
「ん、お前何にするん」
「俺はコーヒーでええわ、どうせ遥……」
「あー、せやな。解った、注文しとくわ」
「蔵、いまダブル頼んだらトリプルになるねんて! これはダブル頼むしかないやろ!」
「はいはい、好きなん頼み」
「えっとー、ほなチョコミントとレモンシャーベットとー、あとキャラメル。カップで!」
「俺はストロベリーチーズケーキ、カップで。あとコーヒー」
「蔵……注文可愛えな」
「おおきに」



「お待たせ謙也、席あんがとー」
「おー、遥結局トリプルかい」
「ダブル頼んだらトリプルになんねん。せな損やん」
「そらそうや」
「謙也、コーヒーの砂糖とミルク一個ずつで良かったか」
「あー、おおきに白石。一個ずつでええで」
「いただきまーす。キャラメルうまー!」
「遥、一口くれ」
「えー、謙也いらんのとちゃうん」
「見てたら食いたくなるやん?」
「まぁしゃあないっすわ……」
「どこぞの後輩みたいな口調やめぇ」
「あ、そういや何か大納言あずきっちゅうんもあったで。はい、あーん」
「それは財前好きそうやなぁ。ん、結構美味いやん」
「遥、俺にも一口」
「ええよー、蔵のんも一口頂戴」
「はいはい」



「どないしたん遥、めっちゃ眉間にシワ寄っとるけど」
「うるさい謙也。……お腹いっぱいになってもた」
「あーあー、調子乗ってトリプルら頼むからやで」
「腹壊す前に食べるんやめとき、遥」
「うー、あたしのチョコミント……」
「お前小食なんやからトリプルなんか食べきれるはず無いっちゅー話や」
「謙也の予想大当たりやなぁ。遥、謙也に感謝しぃや」
「感謝? なんで?」
「謙也、遥が残すと思っとったからコーヒーだけにしたんやで」
「それはそれは……残飯処理ありがとうございます」
「残飯言いなや。まぁええけど、チョコミント美味いし。ちゅーかチンタラ食うから溶けかけやん」
「わっ、謙也食べるんはやっ!」

(20120709)