そんな世界怖くないよ

「んっ、く……」

まだ濡れていない秘部に無理矢理捩じ込まれた光の指に私は顔をしかめた。摩擦でひりひりとするそこは、まるで焼けているような感覚だ。光はこうやって、たまに私を無理矢理犯す。

ベッドに押し倒され、制服は着たまま無理矢理ボタンを外される。肌寒いからと履いていた下ろしたてのタイツを破かれた。そして下着の間から指を差し入れ、いきなり指を差し込んだのだ。

「遥先輩、ここ、濡れてきてません?」
「んっ、ふ、ひか」

普段は私のことを名前で呼び捨てするし、敬語だって使わない。けれどこういう乱暴なセックスをする時だけ、私のことを遥先輩と呼ぶ。言葉で攻める時も敬語を使う。

光が何を望んでいるのか解らない。そういう先輩後輩プレイが好きなのだろうかと思ったりしたこともあるけれど、どうも違うようだ。たまに、ごくたまにだけれど、周期的にこういうことをする日があることが解って来た。

中で指を動かしているうちに徐々に私の秘部は湿り気を帯びて来た。それに気をよくしたのか、光は口の端を少し上げて乱暴なキスを私にぶつける。カチカチと歯が当たりその衝撃に思わず口を開けると、ぬるりと舌が入って来る。

「はっ……はぁ」

流し込まれるように入って来た光の唾液が飲みきれなくて私の唇の端を伝う。光のものは全て自分の中に入れたくて、それを指で拭って舐めとった。


「そんなんどこで覚えたんです? 厭らしっすわぁ、ほんま」
「いやぁ、言わな……で」
「遥先輩、俺の指好きですよねぇ。指の節太いとこ中に入る度、びくびくしてへん?」
「うっ、あう、あ」


また指が律動を始める。光の言う通り、彼の骨張った指が私の内壁を擦る度に背筋がぞわりとする。細長いそれはたまに焦らすように撫でたり、叩くように激しくかき回したりする。

「そろそろええかな。挿れますよ、遥先輩」
「う、ん……っ」

初め指を受け入れた時の痛みが嘘のように、私のそこはぐしょぐしょに濡れていた。光の指が気持ち良いのはいつものことだけれど、いじられたから濡れたのでは無いような気がしていた。

最近の私は耳元で光の声を聞いて、光の体温を感じて、光の臭いを嗅ぐとすぐにこうなってしまうのだ。自分でも変態なんじゃないかと思う。もう末期だなと自嘲する。それでもこの人から目を逸らせない。

「んんんっ……うう」

一気に奥に入って来る時に、思わず固く目を瞑る。最奥まで彼のものが押し進められ、そこで一度動きが止まる。びくびくと脈打つ光自身を中で感じ、子宮がきゅうとなった。

「遥せんぱ、はぁっ……やば」

光が大きく息を吐く。その時に漏れる声が堪らなく好きだ。静かに目を開けて彼の顔を見た。奇麗な顔が快感に耐えている。私で気持ちよくなってくれている。それが幸せで嬉しくて、涙が出そうになる。

ねぇ光、どうして私だけじゃ駄目なのかな。光が他の女の子を抱くのはどうしてなの。他の子の前でも、そんな声でそんな顔をしているの?

「あ、あっあ、ん、ふ」
「遥先輩、どうして欲しいんっすか?」
「ひっあ、ああっ」
「俺、先輩のこと気持ちよくしたいんです。言うて、どこがええんか。遥先輩」


痛いくらいに右の乳首を捻られ、思わず膣に力が入る。それに反射的に顔をしかめた光は、今度は左の乳首も同様に捻った。いつもは優しい律動も今日は初めから激しい。私のことを労らない動き。

けれども不思議と嫌では無かった。こういうことをするときの光の言葉は、何故かいつもより穏やかな声で優しいのだ。言葉で攻めるようなこともしない。純粋に、私にどうされたいか聞いているような声で囁いて来る。

光の言葉と行動がまるでいつもと正反対で、どうして良いか解らなくなる。どちらかが本当で、どちらかが偽りの光なのだろうか。もしどちらかが他の子には見せない姿だとしたら、それを知っているのが私だけだとしたら、それはとてもとても幸せなことなのだけれど。

「遥せんっ、ぱい」
「はぁ、ひ、ひか、なに……?」

縋るように光の背中に手を回す。彼のピアスが沢山ついた耳に唇を寄せると、光の背中がびくりと跳ねた。それに気を良くして私は耳を噛んだり、耳の穴に舌を入れたりを繰り返す。

背筋がびくびくとするのに合わせて膣の中にある光のものも同じように跳ねた。可愛い、愛おしい。いつの間にか律動が止まっているせいで、中にあるものの輪郭がはっきりと伝わって来る。

「光……?」
「先輩、俺最低やのに、なんで俺なんか好きなんですか」

まるで泣きそうな声でそう呟いた。私の首に埋められた彼の顔は、いまどんな表情を浮かべているのだろう。光の奇麗な黒髪がさらりと私の頬を撫でてくすぐったい。

光が最低だなんて思ったことはない。どうして私だけじゃないのかとは思うけれど、私を愛してくれるならばそれでいい。光がこんなことを言い出すなんてどうしたのだろう。本当に珍しい。

「もし俺が遥先輩のこと、好きやけど一番やないって言ったらどないするんですか……」

それでも好きでいてくれるなら、それで良いの。もしその言葉が本当でも、今まで幸せな気分でいさせてくれただけで満足だから。

むしろ言ってくれた方が、今まで思って来た『私だけじゃ駄目なの?』の答えになる。これ以上他の子に嫉妬する前に、いっそ諦めがつくかもしれない。

ねぇ、光。もし例えばこの世に光しか男の人がいなくなったとして、女の人がみんな光と関係を持ったとして。

「遥先輩は、俺のこと、一番すき?」
「当たり前でしょ、光。世界で一番愛してるよ」

それでも光がそこにいてくれるのなら、そこが私の世界でも構わないと思えるよ。

(20120618)