私の学年は同級生がいないということで、時間が合う時は後輩と座学を受けている。最初は戸惑ったけど、今ではすっかり慣れて4人で仲良く机を並べ、楽しく学生生活を送っていたはずだ。ついさっきまでは。
「先輩の舌ってエロいよね」
「分かる」
急に変な爆弾を落とされて、教室にいた全員が五条くんと硝子ちゃんを見た。全員と言っても私と夏油くんと夜蛾先生の3人だけども。何言ってんの、この子たち。先生は聞こえないふりを決め込んで、教室から出て行った。
「てか五条はいつ見たの?キモ」
「うぜー。こないだ術式見たくて舌引っ張り出したとき。なんかこう、惹かれるものがあんだよな。つか硝子も見てんなら人のこと言えなくね?」
「誘われる感あるよな。私はなまえさんの健康状態見る時にしょっちゅう見れるから。正当な方法だよ」
「私だけ見たことがないのか。羨ましいな」
『待って夏油くん、普通に会話に入ろうとしないで。羨ましいって何?!』
「何だ、夏油は見たことないのか。勿体ね〜」
「傑、カワイソー!まじですっげえエロいから」
『何で二人はそう煽るようなことを言うのかな?!夏油くん、無言でこっち見ないで!』
何でこういう展開になったのか分からない。会話にも追い付けず、夏油くんは相変わらずじっとこっちを見ている。どうやったら見れるのか、真剣に考えていそうで怖い。居た堪れなくて両手で顔を覆った。
話の軸はどんどん変な方向に行ってしまうし、硝子ちゃんは珍しく悪ノリしているし、何なのみんな反抗期?
「あ、でも先輩って人前で面紗とれねぇのに何で硝子は見れんの?あれ嘘?」
『嘘じゃないよ!硝子ちゃんに診てもらう時はちゃんとそういう部屋に…』
「そういう部屋って何?えっち〜!うちの同級生を変な部屋に連れ込まないでくださーい!」
『高校生だからって何でもそっちの方向にもっていくの止めてほしいな?!』
断じて怪しい部屋じゃないから安心してほしい。
何というか、確かに護符とかで身動き取れなかったりちょっと医療とはかけ離れた部屋だけども、それは術式の発動防止を施しているからであって、決してそれ以上でもそれ以下でもない。
「私もその部屋に行けば見れるかい?」
『見せないよ?!』
「夏油だけ仲間外れは可哀そうだしね、今度呼んでやるよ」
「それは嬉しいな。是非呼んでくれ」
「覚えてたらな」
『硝子ちゃん!』
「忘れないように鬼電しようかな」
「キッショ」
『聞いて?!』
私抜きでどんどん話が進んでいく。可笑しいな。先輩ぞ?我、先輩ぞ? 自分の舌なんてそうまじまじと見ないし、エロいとか思ったこともない。厚みも長さも特徴があるわけでもないし、極々普通の人間の舌なのに。
「