Life is ... vol.8





あの日、私は、昴さんの車で阿笠博士の家まで送ってもらって、そのまま泊めてもらい、翌日大量のマカロンを抱えて家に帰った。あの大量のマカロンは今もまだ私の部屋の冷凍庫の中にしまわれている。
今日は、哀ちゃんに呼ばれて阿笠博士の家でコナン君と博士と哀ちゃんと4人でこれから夕飯を食べる。私は、哀ちゃんと一緒に夕食づくりをしていると、博士にコナン君が話しかけてる声が聞こえた。
「そういえば、あのお姉さん、黒沢弁護士が弁護にすることになったらしいぜ」
「黒沢弁護士ってあの黒沢弁護士か?」
「そう、あの黒沢弁護士。無罪請負人というか、引き受けた犯人の刑を減刑する達人って言われてるあの人」
「しかし、彼は、自分の興味のある事件か、金を積まれなきゃ仕事はひきうけないんじゃなかったかな」
「それが・・・目暮警部の話だと、黒沢弁護士の名刺持ってたんだってよ」
(よかった。彼女連絡したんだ)
黒沢さんは、浦川芹奈さんという人から連絡が来たら弁護を引き受けてほしい。費用は私が持つことをメールした後どうなったのかは知らなかった。彼も忙しいから、断りのメールがないということは引き受けてくれたということだと理解していても、彼女がどうしたのかまでは私にはわからないからコナン君の話を聞いてほんの少しだけ胸のつかえがとれた気がした。
「そうなんじゃな」
「ねえ、楓さん。不思議だよね。なんであのお姉さん黒沢さんの名刺なんて持ってのかな?」
いつの間にか横に立っていたコナン君に手をつかまれていた。
「なんでかな?」
「琉璃ねえ、何かした?」
「さあ、どうかな?新ちゃんの想像に任せるわ」
手をほどいて、夕飯のために煮込んでいる鍋の中を見つめる。多分気が付いてる。けど、伝えるつもりはない。
(新ちゃんもコナン君も安室さんも哀ちゃんもみんなすごいね。この世界の中で誰かを救ってる。私も・・・いつか、誰かを救えるようになりたい)
これは、そうができなかった、私の身勝手な贖罪・・・。


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once again