ピーターたちはカスピアンたちと合流すると、拠点となる塚山を目指した。
塚山に着くとそこにはたくさんのナルニア人がいた。ピーターはその中に、よく知っている少女の背中を見つけた。
「アンジー…?」
まさかと思いピーターが声をかけると、少女はゆっくりと振り向いた。
「アンジー!」
やはりアンジーだった。アンジーは口いっぱいに林檎を頬張っていた。
ピーターはもちろん、エドマンドもスーザンもルーシーも驚いていた。ピーターが駆け寄ると、アンジーは持っていた林檎を落とした。アンジーも目を大きく見開いて驚いていた。
「ピーター!」
思わず2人は抱き合う。
「アンジーどうしてここにいるんだ」
「私ね、思い出したの。私は、─────」
アンジーの言葉を聞いてピーターは唖然としていた。エドマンドたちにはアンジーの声は聞こえなかった。
「嘘だろ…?」
「嘘じゃないわ。覚えてない?私たち、前にも会ったことがあるのよ。このナルニアで」
ピーターはアンジーが何を言っているのか理解ができなかった。しかしアンジーの様子からして嘘を言っているようではない。
「一体どういうことなんだ…」
ピーターは困惑して頭を抱えた。アンジーは落とした林檎を拾って、土で汚れた部分をじっと見つめていた。
「どういうこと…?」
エドマンドたちも状況が把握できず困惑していた。
しかしルーシーだけはなんとなく、何かをわかったような顔をしていた。
「私は覚えているわ。会いたかったアンジー!あなた、いつも近くにいたのね!」
ルーシーもアンジーに駆け寄り、勢いよく抱きついた。再びアンジーが持っていた林檎は地面に落ち、半分に割れてしまった。
「久しぶりね、ルーシー」
「こんなに大事なこと、今まで忘れてたなんて。ごめんなさいアンジー」
アンジーは優しくルーシーを抱きしめ、頭を撫でた。
「どういうことだルーシー?」
「みんな覚えてないの?みんな、アンジーに助けて貰ったじゃない!」
それは1年前、初めてナルニアに来た時─────1300年前のこと。ピーターたちが初めてアスランに会った日、アンジーはその日もテント近くの岩の上で林檎を齧っていた。今と違ってその時のアンジーはとても冷たい目をしていて、極力誰とも関わらないようにしていた。いつも1人でずっと遠くの方を見つめていた。ピーターはそんなアンジーのことが気になり、事あるごとに声をかけては心無いことを言われていたのだ。
「でも、それでも私のことを気にかけて何度も声をかけてくれるピーターにだんだん惹かれていって、ついに恋をしてしまった。それは私には許されないことだったの」
だって私は、天使なのだから。