05






ピーターたちはカスピアンたちと合流すると、拠点となる塚山を目指した。
塚山に着くとそこにはたくさんのナルニア人がいた。ピーターはその中に、よく知っている少女の背中を見つけた。

「アンジー…?」

まさかと思いピーターが声をかけると、少女はゆっくりと振り向いた。

「アンジー!」

やはりアンジーだった。アンジーは口いっぱいに林檎を頬張っていた。
ピーターはもちろん、エドマンドもスーザンもルーシーも驚いていた。ピーターが駆け寄ると、アンジーは持っていた林檎を落とした。アンジーも目を大きく見開いて驚いていた。

「ピーター!」

思わず2人は抱き合う。

「アンジーどうしてここにいるんだ」
「私ね、思い出したの。私は、─────」

アンジーの言葉を聞いてピーターは唖然としていた。エドマンドたちにはアンジーの声は聞こえなかった。

「嘘だろ…?」
「嘘じゃないわ。覚えてない?私たち、前にも会ったことがあるのよ。このナルニアで」

ピーターはアンジーが何を言っているのか理解ができなかった。しかしアンジーの様子からして嘘を言っているようではない。

「一体どういうことなんだ…」

ピーターは困惑して頭を抱えた。アンジーは落とした林檎を拾って、土で汚れた部分をじっと見つめていた。

「どういうこと…?」

エドマンドたちも状況が把握できず困惑していた。
しかしルーシーだけはなんとなく、何かをわかったような顔をしていた。

「私は覚えているわ。会いたかったアンジー!あなた、いつも近くにいたのね!」

ルーシーもアンジーに駆け寄り、勢いよく抱きついた。再びアンジーが持っていた林檎は地面に落ち、半分に割れてしまった。

「久しぶりね、ルーシー」
「こんなに大事なこと、今まで忘れてたなんて。ごめんなさいアンジー」

アンジーは優しくルーシーを抱きしめ、頭を撫でた。

「どういうことだルーシー?」
「みんな覚えてないの?みんな、アンジーに助けて貰ったじゃない!」

それは1年前、初めてナルニアに来た時─────1300年前のこと。ピーターたちが初めてアスランに会った日、アンジーはその日もテント近くの岩の上で林檎を齧っていた。今と違ってその時のアンジーはとても冷たい目をしていて、極力誰とも関わらないようにしていた。いつも1人でずっと遠くの方を見つめていた。ピーターはそんなアンジーのことが気になり、事あるごとに声をかけては心無いことを言われていたのだ。

「でも、それでも私のことを気にかけて何度も声をかけてくれるピーターにだんだん惹かれていって、ついに恋をしてしまった。それは私には許されないことだったの」

だって私は、天使なのだから。