アンジーとルーシーは塚山で待つことになっていた。待っている間、2人は石舞台にいた。
「みんな大丈夫かしら」
「大丈夫よ。ピーターたちは強いもの」
アンジーは不安そうにするルーシーの肩をそっと抱き寄せた。
「ねぇ、聞いてもいい?」
「何を?」
「アンジーはピーターのどこが好きなの?」
ルーシーは目を輝かせて言った。そんなルーシーにアンジーは少し戸惑ったが、小さな声でぽつぽつと話し始めた。話終えると、ルーシーは満足といった顔をした。
「私ね、アンジーに憧れてたの」
「私に?どうして?」
「アンジーはとっても美人で、頭もいいし、私にないものを持ってるわ」
ルーシーもまた小さな声でぽつぽつと話し始めた。ルーシーの話にアンジーはくすぐったいようなよくわからないような。
「私だってルーシーが羨ましいわ」
「どうして?」
「あなたって、純粋で綺麗で、自由じゃない」
アンジーの言葉にルーシーは黙ってしまった。アンジーはごめんねとだけ言って、
「みんなのためにご飯を作ってあげましょう、きっとお腹を空かせて帰ってくるわ」
立ち上がり、石舞台を離れた。ルーシーはアンジーのあとを急いで追った。
しばらくしてみんなが帰ってきた。出発した時よりも数が半分以上減っていて、誰もが暗い顔をしていた。
「何があったの?」
ルーシーが聞くと、ピーターは「そいつに聞け」とカスピアンを見て言った。
「もっと早く退却できたのに」
「お前のせいでああなったんだ。予定通り門を開けていれば、仲間が死なずに済んだ!」
「僕が提案したようにここにいれば、誰も死ななかった!」
ピーターとカスピアンの言い合いが始まる。
「君が僕らを呼んだんだろう!?」
「最初の間違いだ」
「最初の間違いは君がナルニアの王になろうとしたことだ!」
「待て!!ナルニアを見捨てたのは僕じゃないぞ!」
「テルマール人は侵略者だ!ナルニアの王になることは出来ない!ミラースもお前も父親も!ナルニアは必要としていない!」
放っておくと酷くなるばかり。ついにカスピアンはピーターに対して剣を向ける。ピーターも同じようにして鞘から剣を抜いた。
「やめろよ!」
エドマンドの声に2人は静止する。エドマンドの方を見ると、谷あらしが抱きかかえていたトランプキンを下ろした。怪我をしているようで、トランプキンはぐったりとしていた。ルーシーがトランプキンに駆け寄り、腰につけていたポーチから小瓶を取り出して中に入っている薬を1滴だけ飲ませた。するとすぐにトランプキンは目を覚まし、「何をぼんやりしてる、テルマール人がすぐにでも来るぞ」と言った。
カスピアンは黙って塚山の中へ入っていってしまった。