「それで?みんなの天使ちゃんとデートの約束したんだ?しかも?うっかり口を滑らせて?へぇー?」
教室に戻ったピーターはクラスメイトに尋問されていた。抱きかかえて医務室に入っていくのをクラスメイトに見られていたようだ。
最初はピーターも何も無いと言ってやり過ごすつもりだったが、あまりにもしつこく言わざるを得なかった。
「あんまり言いふらすなよ」
「わかってるよ」
疲れが一気に来て、ピーターは溜息をつきながら机に突っ伏してしまった。
かっこ悪いだろ、僕。もう少しいい誘い方なかったのかよ。ピーターは後悔していた。もちろん、断られなかったのは幸いだったが、やはり男としてもう少し格好をつけたかったようだ。
「そういえばピーター、袖に血がついてるぞ。どこか怪我してるのか?」
クラスメイトに言われてピーターは飛び上がった。
洗うのを忘れていた。
ピーターはクラスメイトになんでもないと言って走ってトイレへ向かった。
水に浸けてゴシゴシと擦って洗ったが、アンジーの血は綺麗には取れなかった。血で汚れたことに関しては特に気にしていなかったが、問題はこの血がアンジーのものということ。
その日一日、ピーターが袖の血を気にしてそわそわしていたのは言うまでもない。
放課後、ピーターは寄宿舎へ向かう途中、ベンチに座っているアンジーを見つけた。
「やぁ。体調はもう大丈夫?」
「っ、!」
ピーターに不意に声をかけられ、それに返事をしようとしたアンジーは噎せて咳き込んでしまった。
「ごめん!驚かせるつもりは無かったんだ…あの、隣座ってもいい?」
「…どうぞ」
アンジーは少し戸惑ったようだったが、少しずれて自身の隣を空けた。そこにピーターが座る。
「あの、袖の血は取れた…?」
「あぁ、それが水で洗っただけじゃ取れなくて。帰ったら洗濯してみて、取れなかったら替えるよ」
「ごめんなさい私のせいで」
「気にしてないから、大丈夫だよ」
ピーターはアンジーにあくまでも優しく微笑んで言った。それにアンジーは少し安心したようで、表情が和らいだ。
「あの、それで、デートのことなんだけど…」
アンジーは頬を薄く赤色に染めながらもじもじと小声で話し始めた。
「いつにする…?私は体調さえ良ければいつでもいいんだけど…」
「僕もいつでも大丈夫だよ。アンジーはどこに行きたいとかある?」
ピーターがアンジーにそう聞くと、アンジーはハッと何かを思い出したような顔をした。
「ごめんなさい私ったらまだ自己紹介してなかったわ。私、アンジー・ランジェって言うの。って言っても私見た目がこんなだから有名だし、知ってるよね」
「僕の方こそ自己紹介まだだ。僕はピーター・ペベンシー、改めてよろしくね。僕は君のその髪の色、好きだよ」
ピーターの言葉にアンジーは顔を耳まで真っ赤にした。