結局船長の言う通り他の乗客達は船を降りて行き、残った私たちは一ヶ所に集められた。
てっきり全員降りたかと思ったら、私とゴン以外にも残ってる人が2人いた。
「客で残ったのはこの4人か。名を聞こう。」
「オレはレオリオという者だ。」
「オレはゴン!」
「私、#アクア#。」
「私の名はクラピカ。」
まず黒ずくめの人、続いてゴンと私、青い服の人。
黒ずくめの男はなんだかヤクザっぽい。船長に何故ハンターになりたいのか問われただけで突っかかり、私とゴンが素直に質問に答えれば協調性が無いと罵る。
「オレはイヤなことは決闘してでもやらねェ。」と来たもんだ。
協調性無いのはどっちだっつーの。
ところが常識のありそうな青い服の人までもが同調したのには少しビックリした。
「私もレオリオに同感だな。
もっともらしいウソをついて嫌な質問を回避するのは容易い。しかし偽証は強欲と等しく最も恥ずべき行為だと私は考える。かといって初対面の人間の前で正直に告白するには私の志望理由は私の内面に深く関わりすぎている。
したがってこの場で質問に答えることは出来ない。」
…つまりどういうこと?とゴンが小声で聞いてきたので、本当のことは言えないけど適当なことを言ってお茶を濁すのはポリシーに反するってことだと説明しながら、さっき「自由が欲しいから」と答えた自分がすごく当たり障りない所を狙ってたような気がしてきて、ちょっと後ろめたくなった。
それにしてもクラピカって人は女の子受けしそうな王子様っぽい印象のする人なのに、結構クセのありそうな感じだ。
しかし、そのクラピカとヤクザ男の主張は、船長の言葉によって却下されることになる。
「ほーお、そうかい。それじゃお前らも今すぐこの船から降りな。」
「何だと?」
「まだわからねーのか?すでにハンター資格試験は始まってるんだよ。」
「「!」」
「知っての通りハンター資格をとりたい奴らは星の数いる。そいつら全部を審査できるほど試験官に人的余裕も時間もねェ。」
船長は、試験を受けるまでもない志望者をふるいにかけるために雇われた人間で、自分の意思で私たちの受験する権利を剥奪できるのだという(要するに脅迫じゃないか)(と思ったけど黙っていた)。
クラピカが口を開いた。
「…私はクルタ族の生き残りだ。
4年前私の同胞を皆殺しにした盗賊グループ、幻影旅団を捕まえるためハンターを志望している。」
「ブラックリストハント志望か!幻影旅団はA級首だぜ、熟練のハンターでもうかつに手を出せねェ。
ムダ死にすることになるぞ。」
「死は、全く怖くない。一番恐れるのは、この怒りがやがて風化してしまわないかということだ。」
「要は仇討ちか。わざわざハンターにならなくたって出来るじゃねーか。」
レオリオが口を挟む。
「この世で最も愚かな質問の一つだなレオリオ。ハンターでなければ入れない場所、聞けない情報、出来ない行動というものがキミの脳みそに入りきらない程あるのだよ。」
なるほど。みんな結構ちゃんとした理由があるんだな。
「おいお前は?レオリオ」
「オレか?あんたの顔色をうかがって答えるなんてまっぴらだから正直に言うぜ。金さ!
金さえありゃ何でも手に入るからな。でかい家!いい車!うまい酒!」
うーん前言撤回。
「品性は金で買えないよ、レオリオ。」
人のこと言えた義理じゃないけどクラピカのこの一言はかなりキツかったと思う。
瞬間、空気がピンと張り詰めるのを感じた。
「表へ出な、クラピカ。うす汚ねェクルタ族とかの血を絶やしてやるぜ」
「…とり消せレオリオ。」
「レオリオさん、だ。来な。」
「望むところだ。」
こうして2人は外へ行ってしまった。
「おいこらお前ら!まだオレの話が終わってねーぞ、オレの試験を受けねー気か、コラ!」
「放っておこうよ。」
「…ゴン?」
「その人を知りたければその人が何に対して怒りを感じるかを知れ。ミトおばさんが教えてくれたオレの好きな言葉なんだ。
オレには2人が怒ってる理由はとても大切なことだと思えるんだ、止めない方がいいよ。」
「う…む、」
ゴンの主張で船長は2人を引き止めるのをやめた。
「カッコイイね、ミトさん。」
「でしょ?」
「…そういえばさっき私が船長に怒った時は止めたのに、私の怒る理由は取るに足らないものだと思ったわけ?ゴン。」
「…なんか#アクア#相手だとオレも熱くなっちゃうみたいだ。」
「まあホントに取るに足らないんだからいいんだけどね。」
「どこ行くの?」
「面白そうだから見てくる!」