異端者達 19

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 ユージオは制服のポケットに手を突っ込んで、その中に入れっぱなしになっていたものを取り出した。

「……これは覚えているだろう?」

 麻紐に通った、白い小さな欠片。獣の角の首飾りだ。

「土地神信仰の……」

 呟いたクランカイトに頷いてみせる。
 ヴェーダたちが持っていた、土地神信仰の証。帰る前に雑草の繁みを掻き分けて拾ってきたものだ。あれからずっとポケットに入っていた。
 その麻紐に染みついた黒いものが何か、クランカイトは覚えていないようだが。

「あんた、学校で言ったよな。ヴェーダたちは捕まったらしいって。でも、俺の記憶では違うんだ。ヴェーダたちは……」
「もしかして」

 ユージオは悲痛な顔でこくりと頷いて、はっきりとは言わなかった。言う必要もない。おそらくはクランカイトが想像している通りで間違いない。
 麻紐を自分の首に提げる。赤くなった目を瞑り、ユージオは絞り出すような震える声で言った。

「……ガレシア軍がやったんだ。それも、刃物の類とかじゃなくて。……魔法、だったと思う」
「魔法で、人を……?」
「俺はそう思った」

 普通、魔法が直接人に危害を加えることはない。例えば魔法で人間の周りを囲って拘束したり、魔法で投げたものを人にぶつけて危害を加えたり、そういうことは可能だ。けれど、魔法で生み出したものそのものが、人間の身体を傷付けることはない。
 だが、あれは違った。実体のあるものを魔法で動かしたわけでもなかった。魔法で直接人の首を刎ねたのだ。

 ユージオはぽつりぽつりとクランカイトへそのことを伝える。同じく見たはずのもの。そして、クランカイトが忘れてしまっていることを。
 クランカイトはありえないと言わなかった。思い当たるものがあるように考え込む。

「覚えてない、というか……そこのところだけ、不自然なぐらい記憶が欠けてるんだ。さっきユージオと話していておかしいと思った。これは何なんだ」
「王都に戻った後、礼拝堂に行ったんだ。そこで先生――司祭が待ってた。儀式だって言って、何か魔法を使って。俺はそこから倒れて、意識がなくなったんだが」

 身体が弱っていたことで、魔法の余波は受けたのだろう。肝心な魔法の効果こそ表れなかったものの、ひどく酔ったような不快感に襲われた。そして――記憶を引っ掻き回されるような奇妙な眩暈をよく覚えている。

「たぶん、司祭の魔法は記憶に関わる何かだったんだと思う。二人が覚えていない原因は、他に考えられなくて……」
「お前は?」
「俺はそうじゃなかった。その違いはたぶん、ヴェーダたちの時と同じなんだと思う」

 ヴェーダたちがそもそも持っていないもの。クランカイトたちにわざわざ外させたもの。そして、司祭はそのこと自体を忘れさせた。

「これ。ブリード教の耳飾り――これが加護の正体だ」

 わかってしまえば単純な仕組みでもある。だが、神聖という覆いに遮られて不可侵を貫かれていた秘密の正体。今回のことではっきりした。これはただの信仰の証などではなくて、魔法に干渉する何かがある。

「あの時、司祭はこれを外すようにカイトたちに言ったんだ。でも俺はその時、耳飾りを隠し持っていた。司祭の指示を違えて」

 ユージオはクランカイトの手を取った。
 いつかと同じように魔力を流し込む。ゆっくりと、淀みを押し流すように。循環に逆らわずに。一定の量を保ちながらゆるりと増やして、それからすうっと少しずつ量を絞っていく。
 少しは身体が楽になったのか、クランカイトが小さく息を吐く。それを確かめてユージオは自分を指さした。

「俺に魔法を使ってみろ。心配ないから」
「……本当だな?」
「間違いない」

 ユージオが頷いたことを確かめて、クランカイトは詠唱を呟く。

「『“最善なる天則”の火を頒て』」

 クランカイトの手の平の上に、ちょうど手の平ほどの火の塊が燃える。

「……いくぞ」
「ああ」

 頷いた途端、クランカイトがその指先をユージオに向ける。

 火の塊は勢いよくユージオに迫り――そして、その胸に触れる直前に、霧散するように弾けて消えた。
 見慣れたいつもの光景だ。人間に危害を加えることなく、魔法は直前で掻き消える。

 しかし、ユージオはそれを確かめると顔色を変えず、今度は耳元で揺れる耳飾りを外した。

「もう一度。今度は当てないで掠るぐらいにしてくれると助かる」

 机の上に耳飾りを放り出す。その様子を見て、クランカイトは顔色を曇らせた。だが、ユージオは「家が燃えると困るから、火じゃないともっといいかな」などと呑気なことを言う。

「難しい注文を付けてくる」
「見た方が早いと思って」
「うまくいかなくても、恨むなよ」

 クランカイトがそう言って小さな陣をいくつも展開する。その上では細く鋭い氷柱のような塊が幾つも形成されていった。魔力で作り出した水を、形成して冷やして凍らせる。複合する魔法だが、よく安定している。
 魔法が苦手だなどと、本当に適当なことを言いやがって。そう思わずにいられない。

 クランカイトは目を眇めた。当てずに外す。だが掠らせる。ほんの少しユージオに傷を作るだけの軌道を見定めて、氷の先端を向けた。
 複数の氷の刺がユージオに向かって放たれる。そして――そのうちの二本がユージオの腕と耳に小さな切り傷を付けながら、ユージオが背にした壁にぶつかって砕けていった。

 ぷつりとわずかに血が滲む。血が溢れて滴るほどの傷ではない。ぎりぎりまで浅い傷で済んだことを確かめて、クランカイトは大きく息を吐く。
 その心中は、忌々しげな呟きに表れた。

「……怖ろしいこと、させやがる」
「でも、これではっきりしたはずだ」

 学校を出てこの家にやってきた後、ユージオも一人で試した。そしてやはり、耳飾りを外したことで、魔法は自分の身体にも小さいながら傷を作った。

「ヴェーダたちは魔法で殺された。そのことを隠したいがために、司祭は記憶を消す魔法を俺たちに使った。――たぶん、そういうことだと思う」

 クランカイトは眉をひそめた。

「ブリード教は、人に魔法が使えることを隠したいってことか?」
「ブリード教だけじゃなくて……もしかしたらガレシア軍も」
「となると、王政も――か」
「……可能性は、ある」

 少なくともガレシア軍と礼拝堂には何らかの繋がりがあると思うのは、ユージオたちが連れていかれたことを考えても自然だろう。

『今日の怒りを忘れたくないなら、決して手放してはいけない。……何があっても』

 あの時、ユージオに耳飾りをくれたガレシア軍の青年は、この後に司祭が使う魔法のことを知っていた。そう考えることにも問題はないだろう。

「なんでヴェーダたちが死ななきゃいけなかったのか――あんな風に殺されなきゃいけないほどのことをしたのか、本当はまだ――あんまり分かっていないんだ」
「死ななきゃいけないことなんて、ない」
「……そう思いたかった。でも……何も分からなくて。……忘れたことを思い出させるのが本当にいいことなのかも、迷って」

 前髪をくしゃりと掻き上げる。
 自分一人の胸の内に留めて、クランカイトにはあの出来事を忘れたまま普段通りの生活をさせてやるべきだったのでは。打ち明けてしまった今になっても、どうしてもそう悩ましく考えてしまう。混乱しているからと言って、クランカイトにまで悩みを共有させたのは酷なことでは。利己的な、自己満足でしかないのでは。

「巻き込んで、ごめん」
「巻き込めって俺が言ったんだが、聞いてたか」
「……聞いてたけど……」

 呆れた風なクランカイトの声音に、ユージオは煮え切らない態度で答える。それでもやはり、学校で半端に何かを気取らせた自分の不用意が招いたことなのではと、そう自分の軽率さを悔いずにはいられない。
 けれど、自分なりに色々と考えて、母の手記を漁って――初めて分かったこともある。

「でも、どうして母さんが黒魔女と呼ばれたのか――その理由がやっとわかった」
「?」

 同じ異端でも、ヴェーダたちはそんな奇妙な呼ばれ方はしていなかった。今までは漠然と、アルシーナが異端であるということで黒魔女と呼ばれていたのだと思っていたが、それはどうやら違っていたようだ。

「母さんはたぶん、この耳飾りのことを知ってた」
「!」

 知っていて、誰にも漏らさずに黙っていた。
 ブリード教にとっては脅威だろう。自分たちの秘密を脅かす懸念材料だったに違いない。例え秘密を母が口外することはなくても、秘密を知る異端者の存在など、心穏やかではないはずだ。
 ユージオが急にそう思ったのには理由がある。集めた紙の束の一部を拾って、クランカイトの前にかざした。これは患者の診療記録ではない。

「今、この家の中を荒らして、それらしいものを何枚か見つけた。魔法で人間の病気を治す研究だった。母さんはたぶん――そういう研究をしてたんだ」

 人間に魔法を使って、病気を治す研究。今まで誰も手を加えることが許されなかった禁忌の領域だ。そして、それはもちろん、アルシーナも例外ではなかった。

「母さんが死んだ後に、たぶん礼拝堂の人間がこれを見つけたんだろう。葬儀の時かも知れない。母さんはブリード教の禁忌に触れていた。――だから黒魔女と呼ばれるようになった」

 アルシーナは魔法で自分の病気を治す方法を探していた。それが棄教して異端者になることだったとしても。病気に侵されていく自分の命を生き長らえさせるために、異端と謗られる方を選んだ。
 それが黒魔女と非難されることだと、知ってか知らずか。

「魔法みたいに治せたらいい。そう言っていたのを覚えてる。それができればいいと、俺も思う。けれど、カイトがさっき言ったようなこともある」
「……魔法が人に使えたなら、きっと今よりずっと簡単に人が殺せる」

 ユージオはにべもなく頷いた。

 魔法の力の是非は表裏一体で、いい方に使うことも、悪い方に使うこともできる。そして、その対象が人の身体になることで、考えらえる危険の数は恐ろしいほどに跳ね上がる。

 ヴェーダたちの住んでいるところはおそらく、魔法がほとんど発展してなかった。だから、人間に魔法を使える人も限られていたし、危険な魔法がそもそもなかったのだろう。だが、魔法を使えることが当たり前である王都の中で、その事実はきっと凄まじい混乱を招く。

 魔法で病気から救われる人間の数よりも――死ぬ人間の数の方がきっと多くなる。それを見越して事実を伏せているのだとすれば。

「魔法は未知が多すぎて、迂闊に生き物に対して使えるものじゃない。人間相手なら増してそうだ。毎日どれだけ魔法への理解が深まって、どれだけ新しい魔法が生み出されていても、それでも完全に人間の理解が及んでいるわけじゃない」

 フローレインが魔法で学校を壊したことがあった。しかし、あの時フローレインが使おうとした魔法は、何の危険も伴わない、器の中の水流を反転させる魔法だった。しかし、大きな爆発が起きた。
 今になって考えずにはいられない。もしその魔法が人間に掛けられたものだったら。

「事故が起こる。争いの兵器にもなる。だから人間に使う魔法が禁忌で、秘密にされているのだとしたら、俺は――どうしたらいいかわからない」

 人体への魔法を禁じ、病理学の発展に歯止めをかけるブリード教を、一概に非難することができない。それなのに、一宗教、ひいては軍組織自らが国民を騙すようなことをしているのが疑わしい。

「ブリード教が今のこの平和を守っているのだとしたら――俺は」

 秘密のためにヴェーダたちが死ぬ必要があったのだとしたら、それは許せない。けれど、平和を守るために事実を隠すのは必要なことだと言われて、それを完全には否定できない。葛藤は付き纏う。

「何が一番いいのか……」
「…………」

 悩んだってどうしようもないことだ。分かっている。けれど知ってしまった。
 ヴェーダたちに死んで欲しくなかった。それだけなのに、ヴェーダたちが死んだことには色んなものが付随し過ぎて、そんな簡単な話ではなくなってしまった。今まで考えなかった、母の汚名の真相にまで考えは及んでしまった。

 知りたくなかったとは思わない。ヴェーダたちのことを思えば、思いたくない。それでもあまりにたくさんのことを知りすぎて、とても受け止め切れていないのも本当だ。

 クランカイトもそんなユージオにあえて何か言うことはなかった。ゆるりと首を横に振って見せる。

「何が一番いいのか、俺にも考えもつかない。でも、俺もいちおう、一つだけわかった」
「?」

 クランカイトが立ち上がった。
 項垂れるユージオの手を取って、確信を持っているような口振りで言い放つ。

「お前の母さんは、お前を残して死ぬ気なんかなかった」

 思いがけずアルシーナのことを口に出されて、ユージオは目を丸くした。クランカイトは微かに震えたユージオの手を取ったまま、じっと目を見据えてくる。

「だから禁忌だと――知っていたかどうかはわからないけど、でも薄々まずいことだっていうのは分かってはいたはずだ。それでも人体への魔法の作用を研究していた。お前を残して死にたくなかったから」

 ユージオの手にある研究の走り書きを取り上げて、その中身にちらりと一瞥を落とす。

「何を、根拠に……」
「俺の異常を一度で見抜いたほど頭のいい人が、何も考えずに棄教するとは思えない。禁忌に触れるような迂闊な真似もな。それでも――お前の母さんはこんなことをするぐらいに」

 後に黒魔女と謗られることになるほどに、深く。

「きっとお前のことをすごく大事に思ってた」

 ぐっと眉間が痛くなる。目頭が熱い。さっき止まったばかりの涙が再び溢れ出てくる。

 ――そんなことを。

 誰かの口から改めて言われたことなど、なかったから。

「……うるさい。そんなこと、知ってる」
「なんか涙脆くなってるな」
「うるさい」

 ユージオは俯いて袖で乱暴に涙を拭う。
 その袖を「赤くなる」と窘めるクランカイトに外された。手を掴んだまま、じっとユージオの目を見据えて、温かい声で。

「俺も同じだ」
「?」
「ユージオ。俺を助けてくれてありがとう」

 弾かれたように顔を上げると、またクランカイトと目が合う。

 こんな優しい目をするような人間だっただろうか。そんな疑問がふと頭をよぎった。別に冷たい人間だとは思っていないが――これほどあからさまに、感情的な目を誰かに向ける人間かと言われれば、そうではないと思う。
 その理由を、すぐにユージオは思い知った。

「初めてレインより大事だって思った。こんな傷まで作って、ひどい無茶して、でも、それでも助けに来てくれて嬉しかった。――あの時、顔を見て本当に安心したんだ」

 掴んでいたユージオの手の甲に、唇を押し当てる。何かを誓うようなその動作は、うやうやしくて、まるで硝子細工か何かでも扱ってでもいるようだ。
 その意図がユージオにはまだよく分からない。

「何を……」
「いつか俺と家族になって欲しい」
「!」

 いっそ求婚かのようなクランカイトの言葉に、ユージオは驚き、呆然と立ち尽くす。
 家族。そんなものはいつか、誰かと結婚すれば必然的にできるものなのだろうと、漠然と思っていたものだ。その相手は、誰かまだ見ぬ女性だろうと。本当に他人事か何かのように、今の自分には縁がないものだと――それをなぜ、クランカイトが自分に。

 それでもまだ何かの間違いだと思い続けるユージオに、クランカイトはさらに言葉を重ねる。

「誰も家族がいないなら、俺と一緒にいて欲しい。お前の母さんがお前を大事にしたよりも、もっとずっと大事にできるように頑張るから。誰かに頼りたいと思った時、一番に俺を思い出して貰えるように」

 自分でも驚くほど動揺していた。身寄りがなく、礼拝堂にいても家族と呼べるようなものではない。ユージオの家族はたった一人だけで、それももうすでに失って戻らない。
 それなのにクランカイトは自分に家族になって欲しいと、大事にしてくれるという。

 どんな言葉よりも心が震えた。アルシーナが生きている頃の温かい気持ちが甦る。あの時のように――いつもそばに誰かがいてくれる幸福を、クランカイトは自分にくれるという。
 冗談の欠片も感じさせない目で。

「好きだ。――愛してる」

 その言葉を聞いてようやく、本当にそれが愛の告白なのだとユージオは気が付いた。
 動揺は遅れてやってきた。立っていられずにぺたりとへたり込む。何もこんな日に、色んなことが押し寄せて頭の中がぐちゃぐちゃになっている今、この時に言うことかと、心の中で叫びながら。

「な、何を、馬鹿なこと……」

 かろうじてそれだけをどうにか口走るが、クランカイトは容易にそれを切り捨てる。

「本気だ」
「増して悪い!!」

 悲鳴じみた声で叫んだ。
 それに、ずいぶんとユージオのことを買ってくれているようだが、ユージオにしてみればそこまでのことをしたつもりはない。

「お、俺は……あ、あい、とか――そういう気持ちで、あんたを助けに行ったわけじゃなくて!! あの時、誘拐されたのがレインでも、俺はたぶん同じことをしたし、だから別に、特別に感謝されるようなことでなく……!」
「分かってる」
「わ!? 分かってるなら、何でそんな血迷ったこと……そういうことは、何というか……女の子、とかに……」
「血迷ってない。ユージオじゃないと嫌だ。俺が誰よりもお前を一番好きだって自信を持って言えるし、俺以上にお前のことが好きな奴なんていない」
「〜〜〜〜〜〜ッ!!」

 どこまで傲慢なことを、という非難は言葉にできなかった。その言葉に心が動いた自分がいることを自覚しているからだ。
 絶句するユージオに、クランカイトはそれ以上熱を帯びた言葉を重ねることはなかった。ただ小さく笑んで、ユージオの前にかしずくように床へ膝を突く。

「ただ知っててくれ。……俺がいるってこと」

 額に口付けの感触がある。児戯にしては育ちすぎた少年の、ずいぶんと気恥ずかしい行為を、ユージオは突き放したりはしなかった。

 驚きで一時的に止まっていた涙が再び溢れてくる。クランカイトの言う通りだ。こんな自分を好きだと――誰よりも好きだと言ってくれる人なんて、きっと他にいない。嬉しくないと言えば絶対に嘘だ。けれど、素直に応じるにはあまりにも不安が多い。

「死にたがりのあんたの言うことなんか、信じられない」

 大人になればきっと、これから彼に言い寄る女性はたくさんいる。その中にはクランカイトの理想を体現したような人だっているだろう。それを想像すれば、今の約束はあまりにも不確か過ぎた。
 はねつけるユージオにもクランカイトは退かなかった。

「信じて貰えるよう努力する」
「……うるさい」

 返す言葉は力が入らず、気の抜けた声になった。
 クランカイトはそんなユージオの態度に気を悪くするでもなく、ただただ可笑しそうに見るのだった。



 結局、長々と話し込んだせいで、礼拝堂の門限を逃していた。やむを得ず、クランカイトを送り届けるついでにアステリア宅にもう一泊することになった。
 顔を合わせたフローレインを「除け者反対!」とまた怒らせることになったが、ユージオは後ろめたさでそれに反論することはできなかった。
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