気付いた僕は思わずその場に固まった。
お、お化けが出ると言われているところにたどり着くなんて…!!
でもここから保健室までの道のりは分かるし戻るのにも時間はかからない。
左門のことは気になるけど今はそれどころじゃない!


幸い例の部屋の戸は閉まっている。
幽霊の人はあの部屋からは出られないというし、このまま此処を立ち去れば大丈夫な、はず。


そう思いながら後ろに一歩退いた瞬間、手から包帯がひとつこぼれ落ちた。


「あっ」



なんでこんな処で落としちゃうんだ!



慌てて転がっていく包帯をおいかけた時、





身に慣れた浮遊感が僕を襲った。





「っうわああああああああああああ」















この穴、最近落ちた中でも群を抜いて深い気がする。

包帯しか持っていなかった僕がクナイや鉤縄持っているわけもないから、誰かに気付いてもらうしかここを出る術がない。
でもここは人が寄り付かないと評判の場所…声を出しても果たして誰かに気付いてもらえるだろうか。

…そもそも、この包帯いっぱいの視界でどうすればいいんだろう?




「そこの三年生、大丈夫?」


「は、はいぃっ…大、丈夫です……」



落とし穴の中に少しだけ反響した声。
突然のことに驚いて情けない声をあげてしまった。

でも、まさかこんなに早く見つけてもらえるだなんて思ってもみなかった。

こんな処に人が来るなんて珍しいこともあるんだなあ…。


言われた通り穴の隅の方へと移動した時、足首に痛みが走った。
も、もしかして落ちた時に挫いたのかな…蹲っていたから気付かなかった。

声をかけてくれた人は軽い足音で穴の中に降りてきた。
すぐに目の前の包帯が退けられ、その人と目が合う。


逆光になっていて顔がよく見えないけれど…この人の制服、六年生の?

でもこの人見たことない気がする…あんなに個性の強い六年生を忘れるわけはないと思うし。
じゃあこの人は一体…誰?


考えているうちに目の前の人は僕を隠していた包帯をすべて抱え込んで、そのまま穴を出て行った。

……道具を何も使わずに?

改めて見てみると僕の背丈よりも深いこの穴を?


いくら六年生がプロに近い忍たまだからってこの穴、あんなに簡単に出られるとは思えないのに…。


も、もしかして…!


あの人、噂の幽霊…?


幽霊だったらきっとこんな穴から出ることくらい問題じゃないはずだよ!
だって足…は、あったけど…でも、あんなに身軽にこの深い穴から出るなんて考えられない!!

迷信を信じるなんて良くないって藤内は言ってたけど、目の前にしたらいよいよ信じるしかないよ…


あの人、幽霊なんだ…!





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