僕の考えが確かだとわかったのは挫いた足を見たあの人の言葉だった。
「とりあえず私の部屋が近くにあるから、そこで簡単に手当てしようか」
この近くにある部屋なんてひとつしかない。
あの、幽霊の部屋だ…!
僕はそこで意を決して聞いてみることにした。
「え、その……貴方は忍術学園の生徒…なんですか?」
「…一応ね。私は六年は組の建穂実継。さあ、行くよ」
穏やかな声で僕が思ったままを答えてくれた、建穂先輩。
ああ、やっぱり…幽霊なんですね…。
茫然とする僕をしり目に、建穂先輩は僕を抱え上げて部屋へと連れて行ってくれた。
その間も僕は先輩の一挙手一投足を目にしながら絶望していた。
不運不運と言われ存在を忘れられること幾度も。
そんなことはないと思い続けてきたけど…今この時ばかりはその言葉を信じてもいいんじゃないかと思う。
まさか、幽霊に手当てされる日がくるだなんて…
ん?
幽霊が、手当て?
…幽霊って、ものに触れないんじゃないの?
それともこの幽霊が特別ものに触れる幽霊…?
いつの間にか挫いた足首に薬や包帯を巻いてくれている建穂先輩の様子は、そんなに幽霊っぽくはない。
幽霊っぽくないって言っても、他に幽霊なんて見たことないから僕の想像だけど…。
「概ねこれで良いと思うけれど、念のために保健室へ行った方が良いと思うよ」
「っはい!あ、ありがとうございました…」
じっと見ていたところで急に声をかけられてまた驚いてしまった。
こうなったら、正直に聞いてみるしかない…!
「あの、先輩に聞きたいことがあるんですが…」
「ん、なんだい?」
「せ、先輩は…お、お、お化けじゃないんですか!?」
「あー、その…どうして私がお化けだと…?」
「えっ違うんですか?」
僕の質問に逆に先輩が驚いたかっこうになった。
…確かに冷静に、冷静に考えればそもそもお化けだったらきっと触られて冷たいんだろうし。
それから噂の話をすると、建穂先輩は少し悲しそうに笑った。
先輩からすれば、普通に忍たまとして今を生きているんだから死んで幽霊になったなんて噂…存在を忘れられてるも同然だよね。
僕もよく存在感が薄くて気付かないーと言われるけど、先輩は存在そのものを忘れられて、そのうえ命も果てたことになっていたなんて。
*前次#
戻