食堂で遅めの夕食をとっていた時、急に騒ぎ出した一年に何事かと入口の方へ目線を向けた時だった。
入口に佇む同じ制服を着た男に目を奪われ思わず箸を落とした。

「…っ実継、なのか…?」
「いかにも、私だよ」

最後に見た時よりもまた一段大人びた姿の建穂実継その人だった。
まさか本当に戻ってくるとは…いや、信じていなかったわけじゃない。
しかし俄かには信じられない…こいつは本当に実継なのか?

俺は駆け寄ってそのままその顔を両手で捕えた。
それからあらゆるところを触り、その体のどこにも武器がないことを確かめる。
…実継は投擲武器が苦手だ。
中でも手裏剣の類だけはどうしてもうまくできないらしく、あまり手裏剣を服の中に隠し持ったりしない。
これは本人が言っていたのを聞いたので間違いない。
…持っていないか、それならばこの項目では白だ。

「…っ実継ー!!」
「っ!?」

「お前が帰ってきて…っ俺は嬉しい!!」

今度は試しに抱き着いてみた。
…俺が一方的に実継のことを知っているだけで、実際俺達は仲が良かったわけじゃない。
こんなことをしたのだって初めてだ。
本物なら戸惑うだろうし…恐らく自分から離れていくだろう。

実継は苦笑いを浮かべながら優しく俺の腕を解いた。

そうか…この反応も白だな。

「もう一年になるか?ともかくお前が生きていて良かった」
「長らく不在ですまなかったね。まさか噂になっているだなんて知らなかったよ」

っもうあの噂も知っていたのか!?
流石に御使いで鍛えられた諜報能力だな。
俺が流し始めたものとはいえ、尾鰭がついて大事になっているのが申し訳ないがな…。
おばちゃんの元へ向かう背中を眺めつつ俺は本当にあいつなんだろうかと悩んでいた。
逐一の反応は随所にあいつの面影がある。

それは間違いないが…どこか腑に落ちない。

お盆を受け取ったあいつを手招きして呼び寄せいくつか話も聞いてみた。
特に怪しく思うようなことはなかったが…逆に俺の猜疑心をかきたてているようでもある。

こいつが建穂実継だという確証が欲しい。

一年とそんなに楽しげに話すお前は本当に建穂実継なのか?
確かにそうなれば良いと思っていたがいつの間に一年と親しくなったんだ?
ずっとお前を見てきた筈のお前が俺の知らない顔をするのは何故だ?

…もう御使いにも行かず此処にいるというのが本当であるなら、俺は…!

「実継、俺ももう1つ聞いていいか?」
「ど、どうぞ?」

「これから学園にいるってことは、もう御使いに行かないのか?」

実継が躊躇いもなく頷いた。

ならば、それならば…!!




「……っ実継!!俺と勝負だ!」


「……勝負?」

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