御冗談もほどほどに

「オレこそが、貴方にふさわしい……オレが、貴方を一生幸せにします」
突然、手を取って囁かれた言葉に身動きができないでいると、エースは真剣なまなざしで見つめてくる。
いつもの冗談でしょ、とか、プロポーズの練習でしょ、とか、言いたいことはたくさんあるはずなのに、言葉が出てこない。
「んで、返事は?」
しびれを切らしたような言葉に赤面すると、エースは瞳の中に茶目っ気な色を映して、私の手をぱっと離した。
「はははっ、冗談だよ!佳音は真面目だよなー」
「……っ!もう!知らないっ!」
「ちょっとからかっただけじゃーん、そう怒んなよ〜……それに冗談なのは、今だけだから」
「え?」
最後に呟かれた言葉は聞き取ることができずに聞き返そうとすると、こちらを向くなと言わんばかりに力強く頭を鷲掴みにされて、髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。