多分上手く笑えていない。

佳音にはいつの間にか色んな知り合いが増えている。ハーツラビュルだけじゃない。サバナクロー、オクタヴィネル、スカラビア。多分、オレの知らないところでも色んな知り合いができているんだろう。
そのうちオレよりも仲がいい奴ができて、そいつの名前を一番に呼ぶかもしれない、なんて。
「…、ねえ…、ねえエース!話聞いてる?」
名前を呼ばれたことに気が付いて、横を向くと少しだけふくれっ面をした佳音と目が合った。
「話聞いてなかったでしょ」
「んなことねえって。はいはい、ちゃんと聞いてるよ」
いつものように笑みを浮かべて軽口をたたきながら、オレはふと気づいた。
あ。今の俺、
多分上手く笑えていない。