不思議の国のお茶会

「エースってばなんで毎回私を巻き込むの?」
眉を下げて困惑した顔をする佳音の額をつつくと、やめてと手を払いのけられた。
「えー、だって人が多い方が楽しいじゃん。それにオレだけじゃなくて、グリムにだってデュースにだって言えるだろー」
「それはそうだけど……」
「うだうだ言ってないでほら行こうぜ!」
佳音の手を握り締めて走り出すと、足元をおぼつかせながらもすぐ後ろからパタパタ走る音が聞こえる。
掌に伝わる温もりに存在を確かめながら、オレより小さいサイズの手を強めに握る。

楽しくて騒がしいお茶会にならいつでも招待してやる。
だって、不思議の国ワンダーランドに迷い込んだお客様アリスは丁重にもてなさないと。

――二度と元の世界に帰りたいなんて思わないように。