先生と悪い子

「どうして、そんなことをしてしまったのですか」
静かに、それでいて物悲しい声で尋ねてくる寂雷先生への罪悪感でいっぱいになり、私は顔をあげられなかった。
「ごめんなさい」
小さく呟いた私の言葉に寂雷先生は首を横に振る。
「私に謝らなくてもいいんです。ただ、どうか自分のことを大切にしてください。佳音さんに何かあればとても悲しいですから」
寂雷先生の細く長い指先が、私の手首についた傷痕をそっと辿る。その優しい感覚に甘く酔いしびれて甘美な気持ちになってしまうのが、私の最大の罪だ。