次男と同級生

嗚呼、今日も渡せなかった。
私には大きすぎるお弁当箱を見つめてため息をつく。どうして、声を掛けて渡すことができないんだろう。食べきれない中身は今日も友達にあげてしまおうか。朝早く起きて彼のために作った気持ちを。
「なあ、それ」
急に後ろからかけられた声に驚いて振り返ると、緑と黄色のオッドアイの瞳が私を真っすぐに見つめていた。
「いつになったら俺にくれんの」
ずっと待ってんだけど、と拗ねたような声でつぶやく彼の耳はだんだんと朱くなり、つられて私まで朱くなった。