狂おしいほどの想いを君に

「……っ、は、ぁ」
佳音が必死で声を噛み殺そうとする姿に身体の奥底から快感にも支配欲にも似たような震えが湧き上がってくる。興奮して思わず欲望のまま突き動かしそうになる腰を抑えて、俺は彼女の耳元でひそりと囁く。
「なんで我慢してんの?」
耳元で囁いただけなのにびくりと反応する姿が愛おしくて思わずクスリと笑いを漏らすと、佳音は恨みがましい目つきで俺をにらんだ。
「だって……聞こえたら嫌だし」
「コウは今出かけてるし、俺しかいないよ?オマエの可愛い姿は誰にも見せたくないし」
そう言って頬をそっと撫でると佳音は恥ずかしそうに目を伏せる。
「それでも……恥ずかしいんだもん」
「オマエの恥ずかしがってる姿はそれはそれでそそるけど、いててっ」
思ったことを口に出したら照れ隠しなのか、頬に置いた手を抓られた。
「ばかっ」
「恥ずかしいならやめとく?」
意地悪く聞きながら、ずんっと奥まで腰を突き動かすと、不意打ちだったのか佳音の口から艶めかしい声が漏れる。
「やっ、急に、動かないでっ」
「じゃ、やめよっか」
そう言って佳音の中から抜こうとすると、泣きそうな目でこちらを見ながら弱弱しく首を振る。
「……そんなの、ずるい」
そうやって煽る方がよっぽどずるい。そんな目つきで見られて、我慢できなさそうな声で言われて、俺がいつまでもいい子でいると思ったら大間違いだ。
「ねえ、佳音の恥ずかしいところ、全部見せて」
「や、だっ……」
「だめ?」
わざと可愛くおねだりして見せると、佳音は小さく唸る。俺も彼女に弱いけど、彼女も相当俺に弱い。少し屈んで首元にキスを落とすとそれだけで反応してしまうなんて、そんな可愛い姿を見せられたら俺の方が止められなくなる。
「ルカ、ずるい……」
「どうしてほしい?」
逃げられないように指先を絡ませて、真っすぐ見つめて聞くと、佳音は何回か恥ずかしそうに口を開けては閉じを繰り返して、ようやく俺にだけ聞こえる声で言う。
「……ルカの、全部欲しい」
「もちろん」
そういった瞬間に奥深くまで突き刺すと、佳音は甘美に震える声をあげた。
「ははっ、ここ、いいんだ?」
「き、もちいっ、ルカっ」
余裕なんてなさそうな声を聞くと、俺も我慢が出来なくなる。腰を振りながら、名前を呼ぶと、答えるように俺の名前が返ってくる。
汗のにおいと彼女のシャンプーの匂いが混ざり合う。お互いを求めるだけで頭がくらくらしてどうにかなりそうだ。欲しくて欲しくてたまらなくて、頭が真っ白になる。
「好きだよ」
そう囁いた瞬間、彼女の中がひくりと蠢いてきつく締め付けられるのが分かった。突然の刺激に俺も我慢できずに快楽の波へと溺れる。
全身を震わせて息を切らす彼女の頭をなでると、やがて落ち着いたようにくたりと寝転ぶ。その様子を見ながら俺も隣で寝ころぶと、求めるようにすり寄ってきた。
「……ルカ」
「ん?」
「すきだよー……」
「俺も、佳音のこと大好きだよ」
そう言うと、彼女はへにゃりと笑ってから、そのまま小さく寝息を立て始めた。