「お前のことが好きなんだ」
サークルが一緒の伏見くんにそう言われたのは、大学一年の終わりの頃。仲が良い自覚はあった。伏見くんの撮る写真は素直に素敵で、好きだと思っていたし、世話焼きな面も優しい所も好感が持てると思っていたくらいだもの。…だけどそれは、友人に対する好意───だと思う。告白された時は驚いて何も言えなかった、伏見くんが私を恋愛対象として見てくれていたなんて思いもしなかったから。
何も言えなくなっている私を見て、伏見くんは眉を下げて苦しそうに笑ったの。困らせてごめん、急に言われてもって感じだよなって。私はあわてて首を横に振ったけど、それでもやっぱり何を言ったらいいのかまではわからなかった。そのまま返事をすることはなく、伏見くんとの友人関係は今でも何となく続いている。
話もするし、休みの日に一緒に撮影しに行くことだってあるし、講義終わりにお茶しに行くことだってある。…私達の関係は、傍から見ると恋人同士のように見えたりするのだろうか?
「馬鹿みたいだ、私達」
私達、じゃないか。馬鹿なのは私だけ。伏見くんの気持ちに応えるつもりがないくせに一緒にいて、なのに断りの言葉を紡ぐことだけは嫌がって。本当、嫌になる程の馬鹿だ。