万理さんとバーテンダー夢主

いらっしゃいませ、と響いた声は、想像よりも高く綺麗なものだった。びっくりして顔を向けると、カウンターにいたのは一人の女性。意外だった。偏見なのはわかってるけど、バーを経営しているのって男性のイメージが強いから。だから、聞こえる声は低いものだと思い込んでいたんだよな。
まぁ、それは置いておくとして…雰囲気は悪くないと思う。少し暗めの照明に、ゆったりとした曲が流れている店内はなかなか居心地が良さそう。キョロリ、と辺りを見渡していた俺に、お一人様でしたらカウンターへどうぞ、と声をかけてくれた。

「お飲み物は何になさいますか?お酒もソフトドリンクもありますよ」
「あー…じゃあ、ジントニックで」
「かしこまりました。簡単なおつまみもメニューにございますが、いかがなさいますか?」
「ひとまずお酒だけで」
「はい」

俺以外には誰も客がいない店内に、音楽とシェイカーの音だけが響いていた。
これが、俺と彼女の出会い。