■情報屋パロ
「みーくん、混ぜ終わったよ」
「お、綺麗に混ざってんじゃん。んじゃ、次はこれいれて」
「はーい」
月に数回、オレは万理さんのカフェにお邪魔してスイーツ教室を開催している。講師はオレ、生徒は彼女ただ一人という淋しい教室ではあるけれど。でもこれが案外、息抜きになっていることに最近気がついた。
このカフェを知ったのは、単なる偶然だった。パティシエを職業としているオレは、店が休みに時はケーキの食べ歩きをしてるんだ。新作のアイデアが浮かばない時とかは、特に。まぁ、単純に甘いものが好きっていうのもあるんだけど。
…あ、話が逸れちまったな。で、このカフェを見つけたのは新規開拓しようと歩き回っていた時。フラッと迷い込んだ裏路地で、ひっそり営業していたのが万理さんがマスターを務める『コルヴォ』だったんだよな。内装もシックで落ち着いてるし、かけられている音楽がクラシックだったのも、好みだったのかも。軽食もスイーツも飲み物も、どれも美味かったし。気がついたらオレは通い詰めてて、これまた気がついたら常連になってた。
それで何となしにしていた世間話で、オレの職業を話して…彼女がさ、興味持ってくれたんだよな。ウチのケーキを1回食べてみたいって言うから、持ってきたらえらく気に入ってくれてさ。それからこうして休日にスイーツ教室を開くようになったんだよ。教えてほしいって頼み込まれて。
「ただいまー。あ、三月くん来てたんだ。いらっしゃい」
「お邪魔してます!今日はロールケーキっすよ」
「あ、ほんと?楽しみだな〜」