一緒に祝うのです

今日は憧れの先輩、ハルさんのお誕生日だ。
それを教えてくれたのは、元・相棒の探偵さんとその助手くん。きっとお家で奥さんと娘さんがパパの帰りを待っているんだろうから、パーティーはできないなぁ…一緒にご飯とか食べたいけど。今日に限ってはきっとOKしてもらえないと思う。だって奥さん料理上手だ、ってお話だし。
だからと言って何もしないのは絶対に嫌だったので、誕生日プレゼントはしっかりと準備しました!ハルさんの好きなものが娘さん以外、何があるのかわかんなくてめっちゃ悩みましたけどね。気に入ってくれるかもわかんないけどね!





「…何もこんな時間にヤギが出なくてもいいと思うんです」
「仕方ない。奴は神出鬼没だ」

もう少しで終業時間だ、と書類を整理していたら、ヤギが出たと通報。一瞬にして機嫌が急降下の私はものすごい形相でヤギを追い掛け回していたらしいです。同僚の皆さんがめっちゃ怯えた顔でこっち見てるけど、仕方ないじゃないですか。
せっかく定時で上がってハルさんは奥さんと娘さんに誕生日を祝ってもらう予定だっただろうに…何で私がショック受けてるのかわかんないけど、めっちゃショックだ。悲しい。

「みょうじ、この後は予定あるのか?」
「ヤケラーメン食べて帰ります。その前にこれ渡しておきますね」
「?何だこれは」
「誕生日プレゼントです。今日、ハルさんの誕生日なんでしょう?おめでとうございます」
「…知っていたのか」
「まぁ、探偵さんと助手くんに教えてもらったんですけど…」

渡したプレゼントをしげしげと見つめながら、一瞬だけ口元が綻んだ。良かった、喜んでもらえてるのかなぁ。そんなハルさんを見てるとこっちまで笑顔になっちゃいますよねぇ、一番嬉しそうに笑うのは娘さんと一緒にいる時だけど。
さーて、仕事の終わりに大好きな人の笑顔見れたし、プレゼントも渡せたし…もう思い残すことはない!あとは美味しいラーメンを食べて、お風呂入って、寝るだけです。これだけ書くと女じゃないみたいだけど、刑事になると決めた時から女らしさは諦めることにしてるからいいんです。
大好きな人と一緒に働けるだけで幸せいっぱいなんです。

「じゃあ私は帰ります。お疲れ様でした」
「待て、みょうじ。お前はこれから俺の家に行くぞ」
「………へ?」
「若葉がお前も連れてこい、と言っていてな。梓も会いたがっているし、予定がないなら来い」
「え、う、あ…か、家族団らんにお邪魔していいんですか…!」
「何を遠慮してるのか知らんが、みょうじなら歓迎するぞ」

ハルさんの思いも寄らない一言で、私の顔はぶわっと真っ赤になったと思います。ああでも、一緒にお祝いできるなんて嬉しい…!