幼なじみ以上恋人未満
side:燐
「神楽、明日暇か?」
「明日?…うん、塾もないし特に用事はないけど」
「ほんならちょぉ付き合って」
「ええよ〜何時?」
「せやなぁ…」
同級生で、同じ塾に通う勝呂と神楽。
2人は京都出身で、小さい頃からずっと一緒の幼なじみだって聞いたことがある(志摩と子猫丸もそうなんだと)。
それにクラスも一緒らしいから、常に一緒にいるのはまぁ…まだ納得がいく。でもさ…
「…なぁ、志摩ー子猫丸ー」
「ん?どないしたん?」
「何かあったん?奥村くん」
「いや、そういうわけじゃねーんだけど、…勝呂と神楽って付き合ってねーの?」
あいつらとよく話すようになってからずーっと思ってたこと。
2人の距離は友達とか、幼なじみのもんじゃねぇと思うんだよなぁ。特にシシュンキの男女だろ?普通だったらあんなにくっついてねーんじゃないかなぁと思うわけだよ。
俺だったら意識しちまうけどなー…あ、でも幼なじみだから逆に意識してねぇってことなのか?
いや、でもなぁ…それにしても近過ぎるよな?
2人の言葉を待つ間、悶々と考え込んでいたら苦笑する声が聞こえた。
「あー…やっぱり奥村くんもそう思う?」
「?」
「クラスメートの人達にも時々聞かれるんよ…坊と神楽さんて付き合ってるんやないのか、て」
「え、じゃあ付き合ってないのか?」
「そんなんあるわけないやないの、坊は勉強好きの変態でっせ?」
「志摩さん…坊に聞こえたら怒られますえ?」
「だいじょーぶ。お嬢と話すんに夢中で聞こえへんよー」
志摩達によれば、勝呂達の関係は昔っからこんな感じらしい。
友達とか他の幼なじみに比べれば、めちゃくちゃ距離は近いし仲も良いけど、でもそこまで。それ以上でも、それ以下でもないらしい。
曰く、幼なじみ以上恋人未満ってとこらしいな。
ふぅん…でもお互いに大切に思ってるのは確かだろうし、さっさと付き合っちまえばいいのに。他の誰かにとられたらそれまでじゃん。
ボソリ、と独り言感覚で呟いた言葉は志摩と子猫丸にも聞こえてたみたいで、2人もそれに大きく頷いてた。
…あ、やっぱり2人も気が付いてたんだ。まぁでも、俺よりずーっと長い時間、ずーっと近い距離にいたんだもんな…気が付いて当然か。
「坊も神楽さんも変なとこ素直やないというか…」
「お互いに伝えたらあかん、て思い込んでるからなぁ…んなことあるかいって感じやけど」
「仕方ないですって。…お二人とも、真面目な方やから」
「せやけど、いい加減じれったくない?子猫さん、奥村くん」
「はは、…」
「否定はせぇへんけど、…けど、お二人の気持ち次第やない?僕達が口を挟める問題ではないと違う?」
子猫丸の言うこともわかる気がするなー…勝呂と神楽にその気持ちがなけりゃどうしようもない。
確かにそれは2人の問題で、俺達があれこれ言えるもんでもねーか。…それでもお似合いなのに、とか、勝呂達には幸せになってほしいのに、とか思っちまうんだけど。