任務、開始


旅館の中を皆で探検して、美味しい夕飯を皆で食べて、次はお風呂かなーて話してた時やった。
息を切らせた雪くんが、任務開始の言葉を告げに来たんは。





「祓魔対象の悪魔は頂上付近に出現したとのことです。候補生の皆さんはグループになり、山の中腹辺りで下級悪魔の掃討に当たって頂きます」


そしてそれぞれに配られたのは、イヤホンタイプの…通信機。ちなみにマイク付や。
何か指示がある時はこれを通して連絡があるらしいし、逆に何かあった時はこれで連絡しろっちゅーことらしい。
まぁ、確かに悪魔と対峙しとったら携帯で連絡なんて取れへんもんね…こういうんがないとキツイかもしれん。あった方が便利やわ。
配られたそれをしっかりと身に着けて、まだ終わっとらん任務の説明に耳を傾けた。

グループは二人一組だと思っていたんだけど、シュラ先生と雪くんが話し合った結果、二人一組を1つ。三人一組を2つ作ることにしたらしい。
んーで、肝心のグループ分けなんやけど…タツ・しえ・宝くん、廉・ねこ・出雲ちゃん、そして燐くんと私の3つになりました。バランス的にはええのか、なぁ?せやけど、先生方が話し合った結果のグループ分けやし問題あらへんのでしょ。きっと。


「前も思ったけど…神楽ちゃんって勝呂くんと組むものだ、って思ってたよ」
「んー?まぁ、先生方が決めたことやしなぁ」
「せやけど、神楽さんと奥村くんて息合うてはりましたよね」
「…どっちも突っ込んでくタイプやけどな」


あっははー…タツの言う通りやし、反論出来んくて燐くんと2人で苦笑いする他なかった。


「そんで俺らは祓魔対象の悪魔が倒されるまで、中腹辺りにおればいいんですか?」
「はい。祓い終わり次第、通信機でお知らせします。…下級悪魔ですので問題ないと思いますが、くれぐれも気を付けて」


最後にそう言い残して雪くんは頂上に行くべく去って行ってしもた。シュラ先生は一足先に登っとるらしい。…ま、せやろなぁ。説明しとる間に悪魔が下に降りてきてしもたら大問題やさかい。
…そうか。私らも中腹よりしたに悪魔を行かせんようにしないとあかんのやな。

視線を目の前に広がる大きな―――木が生い茂った山へと向ける。
訓練で悪魔と対峙したんはほとんど木や建物がない、訓練用に作られた場所やったけど…此処は障害物が多いやろなぁ。京都遠征ん時も金剛深山やったからこんな感じやったけど、あん時はタツを守ることしか考えてへんかった。
せやから、あんま足場とか障害物とか関係あらへんかったのよねぇ。そないに動き回らんかったし。
はてさて、…今回はどうなることか。


「3つに分けたのはいいけど、どのグループがどの道行けばいいのよ?」
「そんなん適当でええんとちゃいますのん?」
「阿呆。そういうわけにもいかんやろ」
「せやったら、私と燐くんが真ん中行くわ。3人グループが脇を固めてくれた方がバランスええんと違う?」
「あ、成程…!」
「僕らもこの通信機で連絡取り合えるみたいやし、何か緊急事態が起きたら必ず連絡しまひょ。特に奥村くんと神楽さん!なんや心配やし…」
「えっ俺ら?!」
「当たり前でしょ…あんた達以外に心配になるグループいないわよ」


ねこと出雲ちゃんにまで言われてしもた…これはほんまに気を付けんと、まーた怒られてまうね。怒られんのは嫌やし、肝に命じとこ。

さって、と…悪魔を相手にする為に必要なもんは全部持ったはず。愛刀の天ノ鬼も腰に差しとるから問題なし、っと!
もう一度、山に視線をやればどことなくいやーな感じの空気が流れとる。不浄王みたいな気持ち悪さや息苦しさはないんやけど、なんやろ、"何か"がいるような感じや。
それはきっと―――雪くん達が祓いに行った悪魔なんやろうね。


「よし!私達も動こう!」
「そうですね。皆、また後で!」
「…神楽、気ぃつけぇ」
「おん。そっちこそ、な」


コツン、と拳をぶつけて私は燐くんと一緒に真ん中のけもの道へと足を踏み入れた。
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