ただいま、と言える場所


真の契約を結んだこと、そして真名を知れたこと。
それによって、体への負担は今までの半分近くまでに下がるけれども、それでも高位な悪魔を使い魔にしとるんや。消耗は激しい。
せやから、あんまり無理はしたらあかんで?使い過ぎは身を滅ぼすよって。





「ん、…」
「目ぇ覚めたか?もうすぐ着くで」
「あ、ほんま?えらい寝てしもたんやな…」
「せやけど、行きよりはマシになってんで?」


京都へ行って1週間ちょっと。私とタツはようやく東京へと戻ってきました。
まだ完全、とは言えんけれども体調は良うなったし、原因や対処法なども聞くことが出来た。それに蝮姉さまに修行もしてもらえたしね。
それに真名を聞くことも出来たから、得ることの方が多かったと思う。急すぎた帰省やったけど、それでもやっぱりして良かったなぁて思うんよ。提案してくれたシュラ先生と、背中を押してくれた皆に感謝しなきゃならんね。
それと新幹線に乗るその瞬間まで心配そうな顔をしとった京都の皆にも。
今回はえらいたくさんお世話になってしもたし、迷惑もかけてしもたからなー…寮に着いたら無事着きました、て電話しとこうかな。おば様にしておけばきっと皆にも伝わるやろうし。

新幹線を降りて改札を抜ければ、見知った顔がいくつか見えた気がした。
不思議に思って隣を見上げるとタツもあれ?て顔をしてはって、…やっぱりおる、よね?知ってるお人達が。
確かに今日帰る、てメールはしたけれども。


「あっ坊、お嬢ー!」
「志摩ぁ?!お前、何しとん!」
「なに、てお迎えに来たんですよー?昨日、着く時間教えてくれましたやろ?」
「お疲れさんどした、坊、神楽さん」
「俺達もいるぜー!」

―――むぎゅっ

「ぅわ?!り、燐くん!」
「兄さん、だから女の子に抱き着いたらダメだって…」
「何してるのよ!ほんっとデリカシーない奴ね、アンタ」
「ふふっ楽しそうだね、燐」


何故か改札口で大歓迎を受けました。

此処におる理由を聞いてみれば、私らから連絡を受けた廉とねこが皆にも帰ってきますよー、て言うたんやって。そしたら学校休みだし、塾もないから迎えに行っちゃうか!という燐くんの発案により、こうなったらしいです。
はぁ、…まぁ理由はわかったけれども、まっさかこんな出迎え受けるとは思わんかったなぁ。しかも雪くんまで来るなんて、尚更びっくりや。
今日はきっと任務がなかったんやろね。…けど、それなら寮でゆっくり休んでた方が良かったんちゃう?って思って、思わず本人に聞いてしまった。そしたら、気になってたからちょうどいいんだって笑ってくれたんです。


「…うん。顔色、ずいぶん良くなったね」
「本当だ!神楽ちゃん、元気そう」
「まだ完全やないけど、1週間前より大分良うなったよ。心配かけて堪忍」
「んじゃ帰ろうぜー!…あ、勝呂に神楽!荷物置いたら旧男子寮に集合だからなー?」
「は?急に何やねん。こないな時間に行ったら、夕飯食いっぱぐれるんやけど」
「今日の夕飯、奥村くんがごちそうしてくれるんやそうですよ?僕らも誘われました」
「ちなみに私達もいるわよ。…来るでしょ?神楽」
「おん、行くー」










荷物を簡単に片づけて、ルームメイトに挨拶を済ませてから私は女子寮を出た。
皆はそのまま行ったらしいから、私1人…だと思ってたんやけど、遅いからって理由で同じように一度寮へ帰っていたタツが迎えに来てくれてます。ほんま心配性の過保護、よね?そないに遠くあらへんから大丈夫なんやけどなぁ。
でもま、2人でおれるんは嬉しいし別にええんやけど。


「ご飯何やろね?お腹空いたわ」
「奥村のことやし、張り切って作ってそうやな…」
「あははっそれは有り得そうやね!楽しみ」
「…また元気になって安心したわ。食欲も戻ってきとるし」
「体に馴染んできたみたいやから。完全回復まではもー少し時間かかりそうやけどね」
「焦らんでええ。今のままでも十分や」


くしゃっと頭を撫でられて、思わず笑みが漏れる。撫でてるタツも嬉しそうに笑ってはって、やっぱりこんお人の笑顔を見るん好きやなぁって思う。
いつまでも、笑ってくれたらええなぁ。


旧男子寮の扉を開けて、食堂へと足を進めればなんやええ匂いがしてきた。
ひょこっと顔を出せば、テーブルの上には美味しそうな料理が仰山並んとってびっくりしてしもた…やって、ほんまにすごい量なんやもん。確かに人数いるし、このくらいないと足りんのかもしれへんけど、…これ全部燐くん1人で作ったんやろか。


「あ、思ったより早かったですね」
「なに突っ立ってんの?早く座んなさいよ」
「え?あ、おん……やのうて!私も手伝うわ」
「もう準備終わるから大丈夫だよ。ほら、神楽ちゃんも勝呂くんも座ってー」
「あ、そうだ。言い忘れてた」
「?何や、奥村」


テキパキと料理を運んでいた燐くんがくるっと振り向いたかと思えば、にかっと笑みを浮かべて…


「おかえり!神楽、勝呂っ!」


そんな嬉しい言葉を言ってくれるから、何だか泣きそうになってしまったのは私だけの秘密や。


「…おん、ただいま」
「ふふっただいま!」
- 38 -
prevbacknext
TOP