がーるずとーく!


急な呼び出しの任務を隊の皆がドン引きするほどの速さと、気迫で片づけた私とタツは燐くん達と別れて2時間後に再び合流。
2人してえっらい顔しとったらしく苦笑されたけど、けど、どこか嬉しそうに笑てくれて嬉しかった。何か、…やっぱりええなぁ、この空間。この感じ。高校生に戻ったみたいですごく安心するし、楽しい。あれや、タツと一緒におる時の安心感とはまた違うもんやなぁ。離れ離れで暮らしとるからしゃあないのは百も承知やけども、1ヶ月にいっぺんはこうやって集まれたらええのに、て思ってまうわ。…無理やろうけれど。

夕飯を食べた後。自分の部屋に戻るつもりでおったんやけど、タツ・廉・ねこは燐くんと雪くんに、私はしえと出雲ちゃんに部屋に引きずり込まれました。どうやらそれぞれ泊まってる部屋でお話したりしよう、ってことらしいです。
でもそれなら全員、広間か何処かでお話すればええんと違う?何でまた男女で別々にしたんやろ。…まぁ、ええけど。


「夕飯は美味しかったし、お風呂も気持ち良かったー!」
「前にも泊まったけど、あの時は任務だったからこんな風にゆっくりは出来なかったからね」
「ふふ、お気に召してくれたんなら光栄やわ」


2人分の布団が敷かれているものだ、と思って部屋の扉を開けてあらびっくり。何と3人分の布団が敷かれとって、思わず口あんぐり開いてもうた。あれ?仲居さんてば間違うてしもたんやろか?そ、それともしえと出雲ちゃんの他に見えたらあかんモンでも見えてしもたんやろか…?!
3組の布団の謎が解けず、黙り込んで考え込んでると不思議そうな顔をしたしえに顔を覗きこまれた。あ、出雲ちゃんも怪訝な顔しとる。まぁ、それもそーか。急に黙り込んだりしたら、誰でも怪訝な顔にもなるわな…私かてそうやもん。
ごめん、と1つ謝ってから何で3組敷かれとるんやろかーとかるーく問いかけてみました。さっきまで考えてたことは心の内に秘めて。


「そんなの決まってんじゃない、アンタも此処で寝るのよ。勝呂達も奥村兄弟に引っ張られていったでしょ?」
「へ?あ、おん、引っ張られていくのは見たけども…」
「せっかく京都に来たんだもん!別々で寝るなんて寂しいし、」


不自然に言葉を切ったしえは、珍しく悪戯っ子がするようなにんまりとした笑みを浮かべてこう言い放った。


「勝呂くんとのお話聞きたいもん!」
「…………へ、」
「なーにとぼけてんのよ神楽。アンタとあのゴリラ、付き合ってんでしょ?」


しえの言葉にすら驚いてしっかり数十秒固まってしもたのに、出雲ちゃんの断定してきた言葉に更にプラスでもう数十秒間抜けな顔して固まってしもたのは言うまでもない。
だ、だって驚きもするやんか?!私らが付き合うとんの誰にも言うてないんやで?!幼なじみである廉とねこにもタイミングが合わんくて言うてないんや。せやからしえ達にも当然言うてなくて、知ってるはずが…ないのに。
どう答えたらええかわからんくてうー、とか、あー、とか、さっきから唸ってばかりや。しまいには顔に熱が集まってきよって、きっと今、りんご並に真っ赤になっとる自信ある…!うわ、これどないしよ。


「あ、あの、…いつ…気ぃついたん?私、言うてないよね…?」
「今日、勝呂くんと神楽ちゃんが任務に行く前、皆で甘味屋さんに行ってたでしょう?あの時!」
「え?な、何かしとった?」
「特別いちゃついてたわけじゃないわよ。けど、高校生の時とは雰囲気が違ったの…だから杜山ともしかして、って話をしてたのよ」


燐と雪ちゃんも気が付いてたみたいだよ?
しえはさっきとは打って変わって可愛らしい笑みを浮かべ、そう言った。ああ…せやから別々に引っ張られていったんやねぇ。きっと今頃、タツはあの4人…というか、燐くんと廉に質問攻めに合うとるんやろなぁ。頑張れ、私は陰ながら応援しとるでー。
と、思ったものの、私もしえと出雲ちゃんに色々聞かれるんやろうなぁ…やって、2人の顔、楽しそうに笑てるもの。
さっき、タツとの話が聞きたいーって言うてたしね。話すのは別に構わないのやけど、これは結構恥ずかしい思いをしそうや。それを考えると乾いた笑いが漏れてまう…2人にバレないようにこっそり溜息を吐いた。


「それできっかけは?」
「きっかけ、」


うーん、と思案。これってどっちを話せばええんやろ…高校の時?それとも1ヶ月前の時?どっちもきっかけと言って間違いやないとは思うのやけど。考えても考えても答えが出ない場合はどないしたらえんやろ、…あれか、最終手段は両方話してまえばええんやね。
よし、と視線を上げた私の目に映ったのは心なしか瞳をキラキラさせて、私の言葉を待っとるかいらしい女の子達。あ、何やめっちゃほんわかした気分や。


「自分でも正直、きっかけっちゅーんはようわからんのやけど…告白、を、されたんは卒業式の日やねん」
「えっじゃあもう付き合って3年?!」
「…と、思うやろ?せやけど、付き合い始めたんは1ヶ月前やねん」


しれっと言うてみれば、2人して目ェをでっかく開いて驚いてしもうた様子で。あはは、…やっぱりこれはびっくりされてしまうよなぁ…私かて友達からこんな話聞かされたら、まず驚くもん。2人の反応は至極当然、やんね?
ひとまず、落ち着くまでしばらくお茶でも飲んで待ってよか。客室には必ず備え付けで置いてある急須と湯呑み、それと緑茶の葉が入っとる缶を準備して黙々とお茶の準備。えーっと、3人分やからこんくらいかなぁ…あんまり入れ過ぎてしまうと渋くなってまうし、少なすぎると薄い。
昔は苦手やったけど、出張所に勤め始めてからは割と得意になったと思う。ほら、まだ下っ端やし皆の分のお茶を用意することもあんねん。せやから、自然と慣れてきたっちゅーわけ。
お茶を注いだ湯呑みをいまだぽかーんと口を開けとる2人の前にコトン、と置けば、ようやく我に返ったようでありがとう、とお礼を言われた。おん、どういたしまして。


「話を戻すけど、何で付き合い始めたのが1か月前なのよ?」
「告白されたんが卒業式の日っちゅーんは、さっきも言うたやろ?私、その次の日にはヴァチカンに行ってしもたし…」
「あ、もしかして…その時は付き合おう、って話にならなかったの?」


しえの言葉に静かに頷く。
そう、あの時の私達はお互いのことを好きや、とは言ったけれど、付き合おうとは一言も言わんかった。…多分、無意識やったとは思うねん。次の日にはもう私は日本におらんかったわけやし。せやから、タツは「待っとる」って言葉にしてくれたんやと思います。本心は本人にしかわかりませんが、…私はそう思ってんねん。
まぁ、お互いのことを好きだと分かった時点で付き合っとるようなもんやーって言われそうやけど、私達の間ではちゃんと始まったのは1ヶ月前のあの日やと一致しとる。素直にそう言葉にすれば、出雲ちゃんは溜息交じりに「真面目なアンタ達らしいわね」と言った。…そうなんやろか?自分ではようわからん。


「そういうの曖昧にする人だってたくさんいるでしょ。なのに、アンタ達はそうしなかった…だから真面目、って言ってんの」


確かに曖昧には、なってへんけども…真面目かどうか、と言われたら首を傾げてしまう。タツは変態、と言われてしまう程に真面目な人ではあるけれどもね。


「でも良かった。勝呂くんも神楽ちゃんも、ようやく幸せになれたんだね!」
「しあわせ、…」
「杜山の言う通りね。高校の時、幼なじみ以上恋人未満の状態で卒業してったんだもの、気になってたのよ」
「傍で見ていて結構、もどかしい思いしてたんだ。私達も、燐達も、きっと志摩くんと三輪くんも」


どう見たってお互いのことを好きで、思い合っているのに一向にくっつく気配がないんだもん。
そう言うしえの顔には安堵の色が見えたような気ぃがした。ああ、私達の曖昧な関係はずっと皆を心配させてしもたんやねぇ…そのことに今更気ぃつくなんて、とも思うけれど、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいや。高校の時から気をもんでくれてたのやろうから。
…けど、ここで謝ったらきっと2人に失礼だと、思う。こういう時に告げる言葉は、


「…ありがとう、しえ、出雲ちゃん」


素晴らしい仲間に、素晴らしい友達に出会えて。そして今もこうして関係を続けられていること、ほんまに嬉しいって思っとるんよ。
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