響き渡る音
「のわああぁああ?!」
「燐!!!」
side:しえみ
急遽、決まった実践訓練。最後にやることになったのは、燐と神楽ちゃんのペア。
聞いた時は異色だなーと思ったし、それに神楽ちゃんは勝呂くんと組むんじゃないかって思ってたから…とても意外だった。
雪ちゃんと霧隠先生が決めるんだから、そうとは限らないのに。
他の皆も普段なら絶対に組まないだろうなって人と組むことになって、でもそれでも何とか訓練を終えて。
それで燐達の番になったんだけど…私達の時より、悪魔が大きい気がするのは気のせいなのかな?
「何やおかしないですか?」
「明らかに大きさが違う気ぃがすんな…」
「神楽さんと奥村くん、大丈夫でっしゃろか…!」
「だ…大丈夫だよ!燐も神楽ちゃんも強いもん!きっと負けないよっ」
そう…そうだよ。2人共、きっと大丈夫。
雪ちゃんと霧隠先生もいるし、いざとなったら私達もいるんだ。先生達のようにはいかなくても、何か役に立つことが出来るはず。
…訓練だもの。2人の命が、危険に晒されるなんてこと…あるわけないよね?
「『父の許より我が遣さんとする助主、すなはち父より出づる眞理の御靈のきたらんとき、我につきて證せん。汝等もまた初より我とともに在りたれば證するなり。』」
「十五章の詠唱が終わったけど、ピンピンしてる…」
「ちゅーことはハズレか」
「せやけど、見当はついてるんやないですか?絞ってはるみたいやし」
燐は詠唱に集中する神楽ちゃんを背に庇いながら、必死に応戦してる。
でも悪魔の力は更にその上をいってるみたいで、なかなか倒せないみたい。炎を使えば一発なんだろうけど、それじゃあ訓練の意味がないからって雪ちゃんがなるべく使わないように進言してたんだ。
確かにあの力はすごいし、燐の力を制御する訓練にはなるだろうけど、神楽ちゃんの訓練にはならないもんね。
…けど、相変わらず燐の身のこなしはすごいなぁ。ほう、と感嘆の息を吐きながら眺めていたら―――いつの間にか、悪魔が増えていた。
え、どうして?どうして…数が、増えてるの?
しかも増えた悪魔は、真っ直ぐに神楽ちゃんに向かっている。このままじゃ、彼女が危ないっ!
「奥村!後ろやっ!!」
「は?後ろ?何―――悪魔が、もう1体…?!」
「神楽さんっ!!!」
「お嬢避けて!!」
「……っ?!『われの王たることは汝の言へるごとし。我は之がために生れ、之がために世に來れり、即ち眞理につきて證せん爲なり。凡て眞理に屬する者は我が聲をきく』…っ!」
神楽ちゃんが閉じていた目を開いた時、悪魔はもう目の前。
彼女の反射神経、運動神経があれば避けることは簡単だったんだろうけど…ここまで近づかれていたら、きっとそれも無理で。
"死が迫っている"、それでも神楽ちゃんは詠唱し続けてる。
危ないのに、死んじゃうかもしれないのに…この詠唱が致死節であることを願いながら、言の葉を紡いでいく。
けれど―――間に合わない!悪魔の手が彼女を捉え、その体を持ち上げた。
「神楽ちゃんっ…!」
非常事態に雪ちゃん達が動こうとした時、一発の銃声が響き渡った。