これはもうどうしたらいいの


珍しくかかってきた幼なじみの電話にどぎまぎしながら応対して、思いもよらぬ一言に驚くしかありませんでした。


「デート、て、何だ」


いや、意味はわかる!わかるぞ?!私だってそこまでバカではないからな!!け、けど、何でどうして新一とデートってことになってるんだよ!!!しかもトロピカルランドって!それもう、恋人同士が行くデートスポットじゃないかーーーーー!
ああああ、もう私はどうしたらいいんだ?!アイツを好きだ、って気が付いたのはついこの間。しかも上手く喋れなくなって、新一に不審に思われて問い詰められて、うっかり、それはもううっかりと私はアンタが好きなんです、的なことを口走ってしまったことは記憶に新しい。ハッキリ言葉にはしなかったけど!
それから2日ほど、自己嫌悪半端なかった。志保にいい加減ウザいわよ、と言われてしまうくらいまで落ち込んだ(更に言えば、志保の一言でまた落ち込んだけど)。
そんなことがあったのに、新一と2人で遊びに行けってか?!しかもアイツ、ハッキリとデートだって言いやがったぞ!!何なんだ。あれか?私は期待していいのか?それともからかわれてるだけなのかこんちくしょう!!!


「…それでも嬉しい、とか、私はおかしいんじゃないのか…」


ぼふん、とベッドに体を沈めて、溜息を1つ。
そうなんだ。正直恥ずかしいし、どんな風に喋ったらいいかいまだにわかんないし、上手く顔見れないし、つーか、今までどんな風にアイツと接してたかすらわからないくらいなんだけど、誘ってくれてこと、に、めちゃくちゃ喜んでる私がいる。中身は17歳と言えど、見た目は7歳という子供にも関わらず。
…ヤバイ。コナンの姿ですらドキドキしちゃうとか、私はほんまもんのショタコンなんじゃなかろうか。いや、本気でマズいだろそれ…犯罪、立派な犯罪!!!どうにも出来なくなって、思考回路はもうショート寸前でベッドをゴロゴロと転げ回る。そしてドスン、と落ちた。痛い。


「一体何をしているの、咲羅…」
「うん、私にもわかんね。どうしたらいいんだよもー…」
「全くもう。普段は男勝りな性格しているくせに、色恋事にはてんで弱いのね」


ベッドに寄りかかって頭を抱える私の横にすとん、と腰を下ろした志保は珍しく苦笑を浮かべていた。あまり表情が変わらない彼女にしては本当に珍しいことなんだ。……ん?てか、今、志保、色恋事には弱いって言ったか?


「わ、わたし、志保に恋愛相談したっけ…?!」
「されていないけど、…でも見ていればわかるわよ。最近の貴方、工藤くんに対する態度だけおかしかったでしょう?」
「う、」
「これでも勘は良い方なのよ。…好きなんでしょう?工藤くんのこと」


問いかけと言うより確認に近い志保の言葉に、素直に頷けば、やっぱりという声が耳に届いた。そんなにおかしな態度とっていたのか、私…そりゃ勘の良い新一じゃなくても不審に思うよなぁ。ちょっとだけ、悪いことしたかも。


「別に特別なことはしなくていいんじゃないかしら。今まで通り、笑顔で話す貴方を見たいだけだと思うわよ?」
「えが、おの、わたし」
「好きだと自覚して恥ずかしいのはわかるけど、けど、咲羅が工藤くんの立場だったら?」


新一に避けられたら。
顔を合わせるたびに何か理由を付けて、話もまともに出来なかったら。

それを想像しただけで胸が痛くなる。もし、恋愛感情がなかったとしても…大切な幼なじみに避けられるのは絶対に嫌だ。ひっ捕まえて何で避けるのか、きっと問い質す。
そこまで考えて、ようやくこの間の新一の気持ちがわかった。アイツも、…嫌な気持ちだったんだね。


「…やだな、新一に避けられんの」
「なら、恥ずかしいのは少しくらい我慢していつも通り、笑ってあげなさい。工藤くんも喜ぶと思うわよ」
「う、ん。頑張って、みる」
「まぁ、色々言ったけれど…出かけるの、楽しみなんでしょう?」
「……おう」
「それなら思う存分、楽しんでらっしゃい。落ち込んだ顔は咲羅らしくないわ」


ぽんぽん、と私の頭を撫でて志保は部屋を出ていった。あの子、本当は私より年上なんじゃないのか…?

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