それはズバリ!


新一のケータイの待ち受け画面を誤って見てしまってから、どーにも落ち着かない。昔からアイツは蘭のことが好きなんだろう、と思っていた。あの頃は何とも思っていなかったはずなのに、今は何かもやもやするしイライラするし…胸が、痛いような気もする。


「(何でだろ…今までは蘭と新一が話してても平気だったのに、)」


あの日から、2人が楽しそうに話している姿を見るのが嫌だと思ってしまう。大事な大事な幼なじみの、可愛い恋愛を見守ってやりたいと思っているはずなのに、胸の内に芽生えるのは「邪魔してやりたい」っていう黒い感情だ。

2人の間に入って邪魔をして、引っ掻き回してやりたい。あわよくば、この恋がダメになってしまえばいいのに、とさえ考えている。

はは、…何ちゅー考えだよなぁ?我ながらゾッとする。蘭と新一には幸せになってもらいたいし、ずっと笑っていてほしいと願っているのに。この考えじゃ、不幸せになってほしいみたいじゃないか。…そんなはず、ないのにな。
でも、新一を幸せにするのは私でありたいなんて…何でそんなこと思ったんだろう。


「あー…クソ、イライラする…!」


ぐしゃぐしゃと髪の毛をかき乱して、ガバッとテーブルに伏せる。こうすれば2人の姿が見えなくなるし、少しは落ち着くような気がして。…うん、そんなことあるわけないんだけどな。んな単純なことだったらもっと楽だし、とっくに家に帰ってるっつーの。
こんなにイライラして、もやもやして、でも此処を離れたくない…と思ってしまうのは、一体どうしてなんだろうか?


「咲羅さーん?どうしたのよ、気分悪い?」
「園子………なぁ、あのさ」


自分だけでは抱えきれないし、ワケがわからない。それなら誰かに聞いてさえもらえれば、この摩訶不思議な気持ちも、イライラするのも解決できるかもしれないって思ったんだ。そこにちょうど良く園子が現れてくれたから、話聞いてって外に連れ出してみた。ほら、蘭と新一には聞かれたくないだろ?
パタン、と事務所のドアを閉めて園子にさっきまで考えていたことを、相手が新一だってことを隠してそれとなーく聞いてみた。それとそう思っているのが私だってこともちゃんと隠してる。…何か、恥ずかしいし。
全部話し終った所で一息ついていると、園子がふるふると震え出した。ん?どうかしたのか?寒い、ってわけではねぇよな、今夏だし。


「おい?園子ーどしたー?」

―――ガシッ!

「咲羅さんっ!」
「へぁ?」
「それはねっ恋よ、恋っ!!」
「こ、い…?」


濃い、来い、故意、鯉、こい……………は?恋?!


「なーんだぁ、やっぱり咲羅さんてば新一くんのことが好きだったのね!」
「……へ?いや、ちょっと待て。いつ私のことだって言った…?」
「え?だってそうでしょ?説明してくれてる時、いやに個人の感情が入ってる感じだったし…」
「うそ、だって、」
「咲羅さんってポーカーフェイスだけど、こういう時はわかりやすいのね」


クスクスと笑いながら紡がれる園子の言葉は、もうすでに耳に入って来なかった。私の頭ん中を支配しているのは「恋」という一文字だけ。それがぐるぐると回って顔に熱が集まってきているような気さえする。
…うわあああぁあああ!何だよ恋って!!さっきまでイライラしてたり、もやもやしてたのはつまり蘭に嫉妬してたってこと?物騒な考えになったのも、私が新一に…


「恋を、してるから…?」
「もー自覚するまでなっがいよ、咲羅さん!絶対に昔から好きだったでしょ?」
「え、わかんね、…嫌だ、って思ったの、最近の話だし…」
「うっそ?!」
「ほんとだよ、嘘ついてどーすんだ…」


自覚したことによって、少しだけスッキリした気がする。
でも、ちょ、うっわぁ…これからどんな顔して新一に会えばいいんだよ…?

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