居眠りプリンセス


此処は眞魔国。第27代魔王、シブヤ=ユーリ陛下が治めている国。
その魔王が住んでいる血盟城には、忠誠を誓う臣下、色々と理由があって魔王の娘となった幼子、そして侍女や給仕など…大勢の物が暮らしているという。今日はそんな彼らの何でもない日常を覗いてみるとしよう…


「へいかぁーっお待ちください!そんなにわたくしがお嫌いですかぁーーーーっ!!!」
「嫌いとかそういうんじゃなくて、汁を色んなトコから出して追っかけてくんなっつーのぉーっ!!!」
「……毎日毎日、よく飽きないものだな?ユーリもギュンターも」
「それがギュンターの元気の源なんじゃないのか?陛下の足腰強化にもなるし」


それは絶対に違うと思うぞ、コンラート。


「おや、お2人でお茶とはメズラシーですね?ルナは一緒じゃねーの?」
「そういえば、さっきから姿が見えないな。いつもはユーリの傍にいるのに」
「…あ」
「ん?いたんですか、隊長」
「あぁ、すぐそこの木の下だ」


コンラートの指差す先にいたのは、魔王のもう1人の護衛…ウェラー卿ルノアーナ。
中庭に植えられている巨木に背を預け、こっくりこっくりと舟を漕いでいる。膝の上には読みかけであろう、分厚い本が開いたまま乗っていた。


「珍しいな…ルナがこんな無防備に眠っているなんて」
「こいつも立派な武人ですからね、あんまり人の前でぐっすり眠るなんてことしないんですが…」
「安心、しているんだろうな。疲れてるのもあるんだろうが」


自分の上着を脱いで、そっとルノアーナの肩にかけてやる男前コンラート。…だから、世の女性にモテるのだと思うのです。いや、本当に。


「あれ?ルナ、寝ちゃってんのー?」
「ふふっこのようなあどけない寝顔を見てみると、武人とは思えませんね」


追いかけっこをしていた2人も木の下で眠る少女の下へとやってきた。
血盟城での1日は、こんな風にのどかに…そして和やかに過ぎていく―――――


「…仕事をせんか、お前らっ…!!!」
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