そんなのはただの口実で、

―――12月24日。クリスマスイブ。
街中はクリスマスムード一色で、何処もかしこもたくさんの人で賑わっていた。
寄り添いながらイルミネーションを見るカップル。
プレゼントを買ってもらって、嬉しそうにはしゃぐ子供。
楽しそうにケーキを選ぶ家族。
皆笑顔で、とても楽しそうで、とても嬉しそうだった。おまけに雪まで降っていて、ムード満点です。


「ふわぁ…人がいっぱいだね」
「クリスマスイブだからねぇ」


私も例に漏れることなく、恋人のファイとデートをしていた。
一緒に買い物をして、映画を観て、お気に入りのカフェでお茶をして…久しぶりに丸1日一緒に過ごしたの。すっごく楽しかったんだから!

ファイは普段、仕事が忙しくてほとんど一緒にいられない。
クリスマスだって毎年仕事で、もう2年付き合ってるけど…一緒に過ごせるのは初めてなんだ。
最初は空いてても、急な仕事が入ったりとか…ね。
だけど、今年は何が何でも一緒に過ごす!って宣言してくれてね?休みをもぎ取ってくれたんだって。
何だか申し訳ない気分になったけど、嬉しい気持ちの方が大きかったから。


「夕食も外でって思ってたけど…家に帰ろうか。一緒に温かいシチューでも作ろうよー」
「うんっ!」


手を繋いで、シチューの材料を買って、クリスマスケーキも買って。私達は家に帰ることにしました。
街から少し離れた所にある私達の家。家に近づくにつれ、賑やかな音がどんどん遠ざかっていく。
周りには木ぐらいしかないから、こんなに静かだと…私達2人しかいないみたいな気持ちになる。
くすぐったいような、怖いような…そんな不思議な気持ちになりながら、隣にいるファイを見上げた。もう家の前だけど、何となく今お礼を伝えたいって思ったの。


「ファイ、今日はありがとね!すっごく楽しかった」
「オレも楽しかったよ。丸1日一緒にいられたしねぇ」
「一緒に暮らせてるだけで十分に幸せだったけど、やっぱり1日一緒にいられるの…嬉しい」
「…うん、オレも嬉しい」


2人で笑い合って、自然と唇が重なった。


「ね、なまえ。こんな話知ってる?」
「うん?」
「あのね―――…」



ヤドリギの下にいる男女は、キスをしていいって習慣があるんだって。
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