学園の苦労人
此処は堀鐔学園。
一風変わった校風と、変わり者の教師に囲まれ、生徒が勉強する場所。
どれくらい変わっているかと言うと…
「はぁ?!今、なんつったっ!」
「あら、黒鋼。聞いてなかったの?若いはずなのに、もう耳が使い物にならなくなったのかしら…」
「うるせぇ!聞いてたわ!確認で聞き返してんだよ!!!」
「黒りんせんせー、血圧上がっちゃうよー?」
「大きな世話だっ!」
「いーい?1回しか言わないから、耳の穴かっぽじってよぉーく聞きなさい?堀鐔学園恒例っ!好きな相手争奪鬼ごっこを開催するわよー!!」
「だからおかしいだろっ!!!」
…鬼ごっこが恒例になっている辺り、とても変わっている。
堀鐔学園での恒例『好きな相手争奪鬼ごっこ』。
どんな内容なのかって?…まぁ、名前の通りなんだよねぇ。
追いかける側と、追いかけられる側に分かれて、好きな相手…つまり、告白したい相手を捕まえるの。捕まえさえすれば、告白する権利がもらえるってわけ。
もちろん、告白は断っても大丈夫!無理強いしてもいいことないからねぇ。
この鬼ごっこに何の得があるか、なんて…そんなの1つしかない。侑子先生がただ、楽しみたいだけなんです。
まぁ、そんなわけで。今年は教師枠まで設けられて、私も参加することになっちゃったんだけど。
「…ま、生徒の安全も守れるからいいか」
「なまえちゃんは相変わらず真面目だねぇ」
「教え子が怖い目に遭うのを、黙ってみてるのは嫌だもん」
―――ピンポンパンポーン♪
『さあ、皆!そろそろ鬼ごっこを始めるわよー!!!この鬼ごっこも大分回を重ねてるんだけど、ちょーっと面白味に欠けてきたから今回はルール変更っ』
「…ルール変更?」
「嫌な予感しかしねぇぞ」
「あははー。どんなルールになるんだろうねぇ?」
ファイ先生は笑いながら、でも私と黒鋼先生は冷や汗だらだらで侑子先生の言葉の続きを待ってみる。
本当に、嫌な予感しかしないのは何でなんだろうねー…。
『捕まえる側…鬼の子達は、捕まえた子に告白出来るだけじゃなく…やってほしいことを何でも頼んで良いわよー!告白は拒否権アリだけど、やってほしいことは拒否権ナシだから!』
「はぁ?!」
「それ…付き合ってくださいって頼まれちゃったらどうするんでしょう?」
「告白に分類されるだろうから、それは拒否権アリで良いんじゃない?」
「そっか…それなら良いけど」
まだ続く侑子先生の説明を聞いてみると…
・告白は拒否権アリ
・これやって!…みたいな、頼まれたことに関しては拒否権ナシ
・付き合って!キスして!…などの、相手が嫌がるようなことは頼んではいけない 頼まれたら拒否して良し
…だそうだ。
えーっと、つまりデートしてとかは許容範囲内ってことになるのかな。あと一緒に写真撮ってとか。
まぁ、此処に通う子達は常識をきちんと持っている子達だから…誰かを傷つけるようなことはしないと思っているんだけれど。
「じゃあ、なまえちゃんも捕まったら相手の言うこと聞かなきゃってことだよねぇ?」
「…まぁそうなるね」
「いいのー?黒様ぁー」
「…何で俺に聞くんだよ」
貴方がものすっごいしかめっ面してるからじゃないの?
-175-
prev|back|next